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2023年07月06日
横浜商科大学
「実効型ビジネス教育」 -佐々ゼミ 20年続く「野毛大道芸」のイベント運営から学ぶ-
野毛商店街の地域活性化を目的とした街おこしイベントである「野毛大道芸」。20年弱にわたり、本学学生は野毛商店街のイベントにおいて企画支援・共同運営を行ってきました。
2023年4月に4年ぶりの本格開催を迎えた「野毛大道芸」には延べ11万人が訪れ、佐々ゼミの学生たちがイベント運営に携わりました。
地域で学びたい学生の想いがきっかけ -野毛商店街と商学連携事業がスタート-
2004年、佐々教授のもとで学ぶ学生たちから「机に向かっての勉強だけではなく、実際に街に出て、地域の人たちと一緒にプロジェクトを行いたい!」という声が上がりました。
当時、商店街の活性化が全国的な課題となっていたことを背景に、学生たちが商店街活性化プランのコンテスト企画を横浜TMO(タウンマネジメントオーガニゼーション)に提案。TMOを運営する横浜商工会議所や、“商店街と大学が連携する商学連携”に関するネットワーク設立を検討していた横浜市経済局、野毛商店街協同組合が企画に興味を持ち、本学学生が実行委員会の中心メンバーとなって運営する「横浜・商店街イベントプランコンテスト2004」が実現しました。
第1回目は野毛商店街の協力を得て開催したことがきっかけとなり、“野毛商店街と横浜商科大学の商学連携事業”がスタート。野毛商店街最大のイベントである「野毛大道芸」の支援を本学学生たちが担うこととなりました。
<野毛商店街と横浜商科大学の商学連携事業>
■学生が企画・運営に携わったイベント
・野毛大道芸
・野毛流し芸
・野毛柳通り流し芸
・NOGE JAM FESTIVAL
■学生が企画・提案した新規取組(一例)
・マップの企画・デザイン・作成
・野毛大道芸街路灯フラッグの企画・デザイン・作成
・野毛飲食業協同組合オフィシャル・ガイドブックの企画・デザイン・作成
・クイズ・スタンプラリーの企画・運営
・野毛大道芸フォトコンテストの企画・運営・設営
・野毛大道芸フォトコンテスト専用ウェブサイトの企画・制作・管理運営
・野毛大道芸来場者に対するアンケート調査の企画・調査票設計・集計・分析
・野毛大道芸改善提案プロジェクトの実施
■野毛商店街の支援・協力による、講義内実施コンペのテーマ(一例)
・「大道芸の街」というイメージを街全体で表現する具体的方法
・「野毛らしい大道芸」を実現するための具体策
・野毛の街で行われている 流し芸 を普及・発展させるための具体的方策 ~「野毛大道芸」と並ぶ集客イベントに育てるために~
・野毛大道芸運営スタッフに若い人たちを呼び込むための方策
■学生と一般市民を対象とした公開講座
・野毛まちなかキャンパス ~横浜・野毛の商いと文化~
地域をフィールドにした実践的な学びが再開!-イベント運営を経験した学生の感想-
近年の「野毛大道芸」は、2020~2021年はコロナウイルスの影響により中止、2022年は小規模開催、そして今年ようやく大規模開催にいたりました。この間、運営経験のある学生たちは全員が卒業してしまいました。
佐々ゼミの学生たちは、“現場を動かす力” を身につけることを目的に、イベント運営に携わりました。はじめての経験となりましたが、やり遂げることができました。
<学生の感想>
■来場者が楽しめる工夫を実現
イベント会場に訪れた人にとって、わかりやすく、楽しむための工夫を現場で提案したところ、実現することができました。佐々ゼミで学んできた知識やスキルを活かせた結果だと思っています。また、ボランティアスタッフとのコミュニケーションも円滑にとることができ、イベント運営を最後までやりきる楽しさを感じました。
■自主的に動くことの大切さに気づく
イベント運営に携わったことで、自分から積極的に動くことの重要性に気づきました。自分を含めて、現場を運営する学生スタッフは全員が初心者。わからないことがあったら自分から積極的に聞き、動くことがイベント成功につながると感じました。
野毛商店街と横浜商科大学のこれから
野毛商店街とのこれからについて、横浜商科大学が研究機関としてできること、学生だからこそできることについて、佐々教授にインタビューをしました。
野毛商店街との関わりは、20年前にさかのぼります。野毛商店街は小さな飲食店がたくさん集まる場所で、当時は常連のお客さんを中心に商売を行っていました。震災後の2014~15年あたりから、経営者の世代交代や、若い経営者の新規参入をきっかけに、野毛商店街にも変化が。新しい経営者たちはSNSを意識した店づくりやPRを行い、情報が拡散された結果、若い人々も街を訪れるようになり、客層が広がっていきました。2017~18年頃からは、「野毛にしかない魅力」を求め、インバウンドも集まるようになり、野毛商店街の復活を実感しました。苦しい時代もありましたが、街の人たちの力で這い上がった商店街だと思います。
現在の課題は、「野毛大道芸」の運営を支える人手の不足です。運営に携わる人たちの多くは、私たちが野毛大道芸に関わるようになった頃からの経営者やボランティアの方々。高齢化はもちろん、スタッフ不足が進んでいるのが現状です。学生たちと共に、“若いスタッフを増やすためにはどうしたらよいか” 方策を練るなど、学生たちの視点を活かして地域の課題解決策を考えることに取り組んでいます。
佐々教授から学生へメッセージ
ビジネスを学ぶ上で大切なことは、“頭でっかちな考えにならず、現場に目を向けること” です 。課題解決をする上で、与えられた情報を分析して答えを出し、解決できたつもりになってしまう人が多くいます。しかし、ビジネスの企画は考えて終わりではありません。実行するための企画であり、そうした企画を考える上では現場を理解していることがとても大切です。例えば、今回ゼミ生たちが運営を経験した大道芸は華やかなイベントですが、その裏には椅子や机を運ぶといったようなたくさんの地味な作業があります。それらを支えるスタッフがいて、イベントが成り立っていることに学生たちは気づいたと思います。学生のうちに現場を見て知る機会を重ね、地に足をついたビジネスを提案できる人材を育んでいきたいです。
【関連情報】
■野毛大道芸について
1986年に野毛商店街の地域活性化を目的とした町おこしイベントとしてスタート。日本初の大道芸フェスティバルの1つと言われており、現在では毎年10~20万人の来場がある横浜市の代表的な観光イベントまで成長。日本三大大道芸の一つとしても名を挙げている。(詳細はこちら)
■商学連携について
商店街(商)、行政(官)、大学・研究機関(学)の三者が連携して行う共同研究。本学では、野毛商店街以外で、大口通商店街とも商学連携に基づく学びを行っている。
- 問い合わせ先
- 横浜商科大学 商学科
佐々 徹 教授(教員紹介へリンク)
- 発信部署
- 横浜商科大学 アドミッション・広報部
TEL:045-583-9043 / FAX:045-583-9053
Mail:yccpublic_r@shodai.ac.jp