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2026年05月08日
横浜商科大学

60周年記念事業「クリーンエネルギー100%キャンパス」への挑戦
小田原かなごてファーム視察レポート

視察の様子

2026年5月3日、本学が創立60周年記念事業の一環として進める「クリーンエネルギー100%キャンパス」の実現に向け、電力供給のパートナーとして予定している「小田原かなごてファーム」の発電施設を視察しました。

横浜商科大学では、複雑化する社会状況において「商学」の知見を活かし、人の世の幸いのために何ができるかを問い続けています。その探究のプロセスにおいて、現在私たちが取り組んでいるのが、地域と共生するクリーンエネルギーへの転換です。今回の視察では、単なる環境保護に留まらない、エネルギーの地産地消がもたらす新しい社会のあり方を探りました。

視察には吉原理事長、原科学長とともに、大学広報をサポートする4名の学生スタッフが同行。代表の小山田さんにお話を伺った取材内容を詳しくレポートします。

発電施設を視察した概要:試行錯誤して学んだ「持続可能な構造」と「多角的な営農」

5月の澄み渡る空の下、私たちは小山田代表の案内で、小田原に広がるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の現場を歩きました。まず驚かされたのは、小山田さんが最初に手掛けた施設と、そこからの教訓を活かした改良版について、試行錯誤されている様子を包み隠さずお話してくださったことでした。初期に設置した施設は、猛烈な台風の風に耐えきれず、倒壊してしまったという苦い経験があるそうです。

小山田さんはその失敗を糧に、基礎の打ち方からパネルの角度、構造体の強度を徹底的に見直し、現在の頑強なシステムへと進化させました。自然と共生するには、自然の猛威を直視しなければならないということを理解しました。パネルの下に広がる農地では、実に多様な命が育まれていました。私たちが主食とするお米だけでなく、小田原特産のミカン、そして鮮やかなひまわり。驚いたことに、ひまわりは観賞用としてだけでなく、その種から油を抽出する計画も進行中だといいます。「エネルギーを創る場所で、食料も資源も創る」という多角的な営農モデルは、商学を学ぶ私たちにとって、資源の有効活用と収益の多角化という非常に興味深いケーススタディとなりました。

藤棚式(初期)
最初に手掛けた藤棚式の太陽光発電
藤棚式(改良)
改良型の藤棚式の太陽光発電
最新型
最新型の太陽光発電

視察中、小山田さんは耕作放棄地の現状や、農地を次世代へ引き継いでいく相続の難しさについて も、現場の土を前に詳しく語ってくださいました。そのお話は、参加した4名の学生スタッフの心に深く刺さりました。メンバーの中には「自分の実家も畑を持っていて、将来どうすべきか悩んでいた」という学生もおり、日本の農業が抱える課題を「自分ごと」として捉える貴重な機会となりました。現場視察を終えた私たちは、事務所へと場所を移し、さらに深いお話を伺いました。

小山田代表インタビュー:農業×エネルギーが創る地域の未来

◆設置のきっかけ:震災を経て「稼げる農業」への転換

小山田さんがこの事業を志した原点は、2011年の東日本大震災でした。当時、原発事故を目の当たりにした小山田さんは、「自分たちのエネルギーには自分たちで責任を持つべきだ」と痛感されたそうです。それまでは環境問題に社会活動として関わる側面が強かったものの、FIT制度(固定価格買取制度)の開始という追い風もあり、自ら持続可能な「事業」として成立させるべく一歩を踏み出されました。 小山田さんのお話を通じて、農地を守りながらエネルギーを創出するソーラーシェアリングは、農業の担い手不足という深刻な課題に対し、商学的にも極めて理にかなった解決策であることを深く学ぶことができました。

◆現場のリアル:パネルの下で育つ命と「光飽和点」の知恵

「太陽の光を遮ったら、作物が育たないのでは?」という疑問に対し、小山田さんは「光飽和点」という植物の特性を教えてくださいました。植物には一定以上の光があっても光合成が進まない限界点があり、パネルで適度に遮光することは、近年の猛暑から作物を守る日傘のような役割も果たしています。実際にパネルの下では、ミカンの木に白いきれいな花が咲き、力強く育っている様子がみられました。農業と発電が見事に共生している現場を目の当たりにしました。

◆地域との繋がり:小田原の豊かさを多角的に届ける

この施設は、単なる発電所としての枠組みを超えた存在です。小山田さんは、パネルの下で収穫されたお米を原料とする「日本酒推譲」や、地域の特産品を活かした「おひるねみかんジュース」など、資源を循環させ、付加価値をつけて商品化する仕組みを構築されています。

単にエネルギーを地域外へ売電するだけでなく、地元の農家や企業と深く連携することで、小田原という土地に経済的・文化的な価値を還元していく。この「地産地消」のエネルギーと産品のサイクルこそが、地域の自立を支える力強い柱となっていることを実感しました。

学生スタッフによる深掘りインタビュー

インタビュー01
インタビュー02
インタビュー03
◆再生可能エネルギーは「高い」というイメージがありますが、将来はどう変化しますか?

自然エネルギーのコストは、実は原発や火力よりも低いです。だから世界の太陽光発電は10年で10倍に増えています。確かに、初期投資が高く最近のインフレにより設備投資額も上がっています。しかしイラン戦争による原油高騰など、エネルギーを外から買い続けるリスクを考えれば、自分たちでつくる自然エネルギーは価格が安定しています。自然エネルギーの拡大はエネルギーの安全保障です。また気候変動による災害などの『見えないコスト』を、商学を学ぶ皆さんはぜひ計算に入れてほしい。技術革新と普及が進む中で、再エネは『高いもの』ではなく、今や『最も合理的な選択』へと変わっているのです。

再エネは高いというイメージがあるが、事実は違う。2025年2月の経産省WG資料における2023年の新設・運転した際の発電コスト推計値は1kWhあたり、太陽光(事業用)は最も低く10.9円で、原発は12.6円、LNGは19.1円である。2023年の住宅用太陽光は14.5円だが、2040年推定値は10.1円まで低下し、原発の推定値12.5円などより低くなっている。

◆大学で使う電気が、この農園を支えているという実感をどうすれば持てますか?

まずは、コンセントの先に『誰の顔があるか』を想像することから始めてみてください。大学で使う電気が、小田原のこの農地の景色を守り、ここで育つ作物を支えている。そのつながりを可視化するために、私たちは収穫祭や交流会を大切にしています。商科大の皆さんが実際にここへ足を運び、土に触れ、ここで作られたものを口にする。その体験こそが、電気を『ただのインフラ』から『応援の証』に変えてくれるはずです。

◆学生へのメッセージ:僕らと一緒に、新しい形を創っていこう

若い世代の皆さんには、エネルギーを『自分ごと』として捉えてほしい。どのようなエネルギーを選ぶかは、どのような未来に住みたいかを選ぶことと同じです。知識を蓄えるだけでなく、ぜひ僕らと一緒にこの活動に参加し、新しい社会の形を創っていきませんか。その一歩が社会を大きく変える力になります。

【取材を終えて】

今回の取材を通じて、クリーンエネルギーへの取り組みは、単なる環境対策ではなく、地域の経済や文化を守り、人々の幸せを創造する「生きた商学」の実践であると感じました。私たち学生4名も、この視察を通じて「私たちも商大で、地産地消のエネルギーを通じて持続可能な社会に貢献したい」と強く思いました。大学での学びがどのように社会の持続可能性に貢献できるのか、この農園の景色を思い浮かべながら、主体的に考え、行動していきたいと思います。

横浜商科大学 大学広報スタッフ 一同
問い合わせ先
横浜商科大学 IR・情報メディア部 大学広報係
TEL:045-583-9058 / FAX:045-571-3913
Mail:pr_office@shodai.ac.jp
発信部署
横浜商科大学 IR・情報メディア部 大学広報係
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