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2026年10月27日
横浜商科大学
【開催報告】横浜商科大学 創立60周年記念講演会シリーズ第3弾「世界平和のための相互理解 -旅のレジェンド 兼高かおるの遺したもの-」を開催
~『世界の旅』とコレクションを観光の視点で考察し、次世代の学びへとつなぐ生きた実践~

横浜商科大学は、2026年10月17日(土)、鶴見公会堂にて創立60周年記念講演会シリーズ第3弾「世界平和のための相互理解 -旅のレジェンド 兼高かおるの遺したもの-」を開催いたしました。
本講演会は、昭和の時代にお茶の間へ世界各国の文化や魅力を届けたジャーナリスト・兼高かおる氏の業績を振り返り、現代における異文化理解や世界平和の意義を改めて考えるものです。当日は教育関係者や在学生をはじめ、地域住民の皆様など多くの方々にご来場いただきました。
講演の冒頭では、本学が位置する横浜・鶴見の歴史や縁について語られました。かつて「東洋一の遊園地」といわれた「花月園遊園地(現・鶴見花月園公園)」に少女時代から深く親しんだ兼高氏や、その園内で天野屋本店を営み「子育て饅頭」を大ヒットさせながらも、その権利を譲って資金を確保し、中南米へ渡り大事業家となり、のちにペルーでアンデス文明研究に挑んだ天野芳太郎氏などのエピソードが紹介され、この地が古くから世界とつながる挑戦者が在住した歴史が明かされました。
本学は今後も、兼高氏や天野氏が示した世界を共感的に見る視点を次世代へと受け継ぎ、観光学の視点をいかした実践的な教育を通じて、「世界との架け橋大学」としての歩みを推進してまいります。
【開催レポート】兼高かおるの業績から考える「異文化理解と平和への道」
開会にあたり、本学の吉原理事長が登壇。幼少期にテレビ番組『兼高かおる世界の旅』を通じて世界への憧れを育んだ自身の体験に触れ、「戦争の根底には他者や異なる文化への恐怖感や嫌悪感がある。違いを楽しむ心の余裕を持つことが大切だ」と訴え、本学が目指す「世界との架け橋大学」として、学生たちが世界へ羽ばたくことへの強い期待を語りました。
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1. 報告:「商大と兼高かおる世界の旅との関わり」
中村 純子 教授(学術・地域連携専門部会長)・井料 麻裕 さん(観光マネジメント学科4年)
本学観光マネジメント学科の取り組みについて報告を行いました。立教大学に次ぐ歴史を持つ同学科では、講義「観光文化論」において、日本の私立大学で初めて『兼高かおる世界の旅』(ペルー編など)を教材として導入。その経緯や教育的意義が紹介されました。実際に講義を受けた井料さんは、「兼高さんがお一人でプロデュースからディレクション、ナレーションまで務められていることに驚いた。今見ても色あせない貴重な映像」と講義で得た学びを語りました。
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2. 講演:「遊園地・テーマパークが育む『兼高学』
~ONOKOROでの偶然からコレクションの継承、そして本学の教育実践へ~」
竹田 育広 教授(観光マネジメント学科長)
竹田教授は、淡路ワールドパーク ONOKORO内に設立された「兼高かおる旅の資料館」との偶然の出会いと資料館の閉館にともない、貴重なコレクションが野外民族博物館リトルワールドへ無事移管されるまでの経緯を解説。また、兼高氏が生涯において旅を通じて訴え続けた異文化に対する敬意と平和へのまなざしを次世代へと継承していく「兼高学」の意義について、お話されました。
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3. 講演:「兼高かおると基金について」
長内 恵子 氏(一般財団法人兼高かおる基金 代表理事)
長内氏は、1958年の世界早回り記録樹立後、約31年間(全1,586回)に及んだ番組制作の裏側を紹介。初の掛け合い音声入り映像を交え、パラオなどの戦跡で静かに祈りを捧げる兼高氏の姿を共有したほか、基金による医療従事を目指す学生への奨学金事業やおよそ1,600点に及ぶコレクションの保存・継承活動への想いを語られました。
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4. 講演:「異文化理解へのさきがけ:文化人類学からみた兼高かおる」
稲村 哲也 氏(野外民族博物館リトルワールド館長、愛知県立大学・放送大学名誉教授、兼高かおる基金理事)
稲村氏は、文化人類学の視点から兼高氏を「文化相対主義を先取りした知と行動の巨人」と称賛。次いで、クラウドファンディングを経て野外民族博物館リトルワールドへ移管された貴重なモノ資料(兼高かおるコレクション)について、その経緯とコレクションの燻蒸など資料整理の進捗状況を報告するとともに、2028年に迎える「兼高かおる生誕100周年」に向けたイベントの構想についてお話をされました。
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5. 講演:「旅のノマド」
羽田 功(本学前学長、慶應義塾大学名誉教授)
羽田前学長は、特定の枠組みに縛られず境界を越えて活動し続けた兼高氏の生き方を「ノマド(※)」という言葉で表現。定住意識が引き起こす分断や排他主義に対し、「移動と開かれた空間作り」こそが異文化との共感を生む鍵であると指摘しました。不確実な事象が多い現代において、世界を共感的に見る視点を兼高氏から受け継ぎ、ともに考えていくことの重要性を提起されました。
※遊牧民、放浪者のこと。転じて場所にとらわれず遊動する人のこと。
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第2部の座談会では、本学の古賀 茂明 評議員(政策アドバイザー)と寺脇 研 評議員(学校法人瓜生山学園理事)がコメンテーターとして新たに加わり、多角的な議論が交わされました。 古賀氏は、「中国に対する日本人の偏見が強まっているが、情報が氾濫しフェイクやバイアスが蔓延する現代だからこそ、現地に足を運び、そこで暮らす人々と直接交流して正しく理解することが大切だ」と指摘。また、寺脇氏は、1998年の日韓共同宣言に伴う日本文化開放の歴史を引き合いに、「文化交流がお互いの恐怖心や偏見を劇的に和らげた。文化には国家関係を改善する絶大な力がある」と文化が持つ可能性を主張しました。
4名の講演者と2名のコメンテーターによる討議では、兼高氏の功績を観光学と結びつけ、観光の語源および観光立国推進基本法における「国際平和」の理念や、AI・SNS時代だからこそ価値を増す対面(フェイス・トゥ・フェイス)の重要性、境界を越える共感力の必要性について様々な視点からの話題が展開されました。討議の締めくくりとして稲村氏は、人類は家族を越え集団で子育てをするようになり、集団内の共感という感覚が生まれたと指摘しました。
部族のような特定の集団内部では共感が機能しやすい一方、異なる部族間では争いが生じやすく、集団を越えた共感を持ちにくいのが現状です。かつて科学技術の進歩は多様な交通手段をもたらし、人々が旅を通じて対面で相互理解を深める契機となりました。しかし、近年のICTの進展により、むしろ仮想空間での交流が相対的に増加したことで、交流する情報に歪みが生じ、国家間あるいは国内の集団間の分断を助長しています。ウクライナやガザ、イランなどでの戦争や、米国など、世界各地で紛争や対立が深まる現代だからこそ、共感を持つことができるよう、対面の交流による相互理解が重要です。
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講演会の締めくくりとして原科学長が登壇。自身の国際学会での体験に触れ、「オンライン時代であっても、学会活動は対面での交流が基本であり、それにより相互の信頼が得られ、ネットでの情報交流が成り立つ。大学での学びの基本も直接顔を合わせる『フェイス・トゥ・フェイス』にある」と強調しました。最後に、会場の学生たちに向けて「短期間でも海外の現場へ出てください。お互いを深く知り合うことこそが、相手を傷つけることを防ぎ、世界平和を構築する真の礎となります。」とメッセージを送り、講演会は幕を閉じました。
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有森穂花(観光マネジメント学科1年生)
- ● 名 称:
- 横浜商科大学 創立60周年記念 講演会シリーズ第3弾
「世界平和のための相互理解」-旅のレジェンド 兼高かおるの遺したもの- - ● 日 時:
- 令和8年10月17日(土)13:00~15:30(開場12:00)
- ● 会 場:
- 横浜市鶴見区 鶴見公会堂(フーガ1号館6階)
- ● 主 催:
- 横浜商科大学
- ● 後 援:
- 一般財団法人兼高かおる基金 横浜市鶴見区 野外民族博物館リトルワールド
| 1) | 開会挨拶 | 本学理事長吉原 毅 |
| 2) | 報告 「商大と兼高かおる世界の旅との関わり」 |
教授、学術・地域連携専門部会長 中村 純子 観光マネジメント学科4年 井料 麻裕 |
| 3) | 講演 「遊園地・テーマパークが育む『兼高学』~ONOKOROでの偶然からコレクションの継承、そして本学の教育実践へ~」 |
教授、観光マネジメント学科長竹田 育広 |
| 4) | 講演 「兼高かおると基金について」 |
一般財団法人兼高かおる基金 代表理事長内 恵子 氏 |
| 5) | 講演 「異文化理解へのさきがけ:文化人類学からみた兼高かおる」 |
稲村 哲也 氏(野外民族博物館リトルワールド館長、 愛知県立大学・放送大学名誉教授、 兼高かおる基金理事) |
| 6) | 講演 「旅のノマド」 |
本学前学長・慶應義塾大学名誉教授羽田 功 |
| 7) | 座談会 |
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| 8) | 閉会挨拶 | 本学学長原科 幸彦 |
取り組みの背景について
世界的な分断や紛争、ネット上での偏見などが課題となる現代社会において、異文化への正しい理解と敬意を育む平和教育の重要性はかつてないほど高まっています。 本学では、ジャーナリストとして世界150カ国以上を巡り、多様な文化をフラットな視点で紹介し続けた兼高氏の姿勢に着目し、兼高かおる基金や放送大学の協力のもと、専門講義「観光文化論」の正規講義教材として、全国の私立大学で初めて『兼高かおる世界の旅』を導入しました。 兼高氏をリアルタイムで知らない現代の学生たちも、本教材を通じて現地の歴史や多様な文化、そして現代の観光事情を深く学んでいます。当時の貴重な映像や兼高氏の取材姿勢、美しい日本語や洗練された所作は、学生たちに深い感銘を与えています。兼高氏は、まさに旅のレジェンドです。
本学独自の教育実践や学生たちの学びを広く社会に発信し、戦争や異文化の反目等が多い時代だからこそ必要な異文化理解や世界平和を共に考える契機とするため、本講演会を開催いたしました。
今後の展開 ― 観光マネジメント教育への活用と未来への展望 ―
横浜商科大学では、今後も一般財団法人兼高かおる基金や野外民族博物館リトルワールドとの連携を深め、2028年にリトルワールドで開催予定の「兼高かおる生誕100周年」に向けたイベントについても、積極的に参画していきたいと考えております。また、学生が実際に海外や地域へと赴くフィールドワークや国際交流プログラムをさらに拡充し、理論とリアルな体験を融合させた「商学×国際平和」の実践的な学びを提供することで、次世代を担うグローバル人材の育成を進めてまいります。
- 問い合わせ先
- 横浜商科大学 IR・情報メディア部 大学広報係
TEL:045-583-9058 / FAX:045-571-3913
Mail:pr_office@shodai.ac.jp
- 発信部署
- 横浜商科大学 IR・情報メディア部 大学広報係











