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2026年05月07日
横浜商科大学

「考える力」を一生モノの武器に。
横浜商科大学が挑む、独自の初年次教育の実践。

横浜商科大学では、1年生の必修科目として、大学での学びの土台をつくる「考える力」を実施しています。

この授業は、単なる知識の習得を目的としたものではありません。 高校までの「正解を教わる学び」から、自ら問いを立て、複雑な社会の仕組みを論理的に紐解く——。そんな「大学での学びの作法」を身体に染み込ませるための、極めて実践的な知のトレーニングの現場を取材しました。

「受動」から「主体」へ。段階的に知性を磨く14回

本授業では、入学前から卒業後までを見据えた一連の流れの中で、受け身の姿勢から「自ら考え、行動する学び手」への転換を図ります。

◆知の準備(第0回):入学前教育からのスムーズな接続

「考える力」は、入学前からはじまります。与えられた資料を読み、その内容を踏まえて自らの考えをまとめるといった課題に取り組みます。この「資料を読み解く」経験を通じて、学びの基礎体力を養っておくからこそ、入学直後の実践的な演習へ足並みを揃えて踏み出すことができます。

◆知の入り口(第1〜5回):学びの意味を捉え直す

学長やOBの講話を「材料」に、情報を整理して、自ら問いを見出す基本動作を徹底します。特筆すべきは、この5回目までを入学直後のオリエンテーション期間に実施している点。入学直後の不安を「学びへの期待」へと変え、4年間の行動計画を自分の言葉で描き出します。

講演の様子1 講演の様子2
◆知の深化(第6〜9回):社会の「構造」を読み解く

異なる個性を持つ学生同士でチームを組み、対話を通じて視野を広げます。社会課題に対し、表面的な現象だけでなく「因果関係(構造)」を可視化することで、どこに働きかければ解決に近づくのかを論理的に導き出す力を養います。

講演の様子1 講演の様子2
◆知の発信と更新(第10〜14回):試行錯誤を成長につなげる

一度の発表で終わらせず、他者の視点を取り入れて「改善」を繰り返すプロセスを重視します。最終的には、自分にとっての「考える力」を再定義し、卒業後も自分を助けてくれる「知の資産」として定着させます。


こうした緻密なカリキュラム設計の背景には、どのようなこだわりがあるのでしょうか。本授業の設計・運営を担当する神﨑史彦特任准教授へのインタビューを通じ、本学が大切にしている「学びの質」の核心に迫ります。


インタビュー:経験を「知性」に変える、横浜商科大学のこだわり

神﨑史彦特任准教授
◆経験を学びに変えるサイクル:「問い」から始まり「問い」に戻る

多くの大学でボランティア活動や地域連携が行われていますが、本学のこだわりは、活動そのもの以上に、その前後に生まれる「思考のプロセス」にあります。神﨑特任准教授は、学生が活動の中で抱く自分と社会との「ズレ」に注目することの重要性を説きます。「なぜ自分はこう思ったのに、現場はこうなっているのか?」という違和感こそが、学びを深めるエンジンとなるからです。

【問いを立て、仮説を検証し、再び問い直す】
「考える力」の授業では、以下のサイクルを1年次から回し、問いを立て、考え、確かめ、問い直していく学びの姿勢を少しずつ育てていきます。

問い: 現場での気づきや違和感から「なぜ?」を言語化する。

考え(仮説): 知識や観察をもとに、自分なりの答えや解決策を予測する。

確かめ(検証): 実際の活動や調査を通じて、自分の仮説を確かめる。

問い直し: 得られた結果から、さらに新しい問いや深い課題を見つけ出す。

講演の様子1 講演の様子2
◆学問の多様性を映し出す、個性豊かな14の学びの入り口

「考える力」の授業が持つ大きな特徴は、1年生を14の少人数クラスに分け、それぞれの教員が自身の専門知を活かした多様な切り口を用意している点です。 第6回の授業からは、教員が提示する専門領域のテーマをもとに、学生たちがグループワークで課題に取り組みます。共通の思考法を基盤としながらも、クラスごとに異なる社会の側面を題材にすることで、学生一人ひとりの関心を揺さぶり、探究の熱量を高めていく工夫が凝らされています。

《主なテーマの例》
・身近な消費から社会を紐解く: ファッションの背景にある労働問題や、お菓子のパッケージから見える消費者心理の分析。
・古典文学や身近な娯楽から人間を理解する: 文学作品の読解を通じた人間心理の探究や、ゲームコンテンツの流行という身近な現象から考える経済システム。
・地域課題と向き合う: 商店街の活性化や観光地の環境維持など、正解のない社会問題への挑戦。
◆異なる個性が響き合い、チームで高め合う教育環境

学生一人ひとりの強みは、言語や数理だけでなく、対人関係、内省、身体的なものなど、多様な形があります。神﨑特任准教授は、こうした学生一人ひとりの個性を認め合うことの価値を強調します。「言葉にするのはまだ時間がかかるが、鋭い観察力を持っている」「チームの調整役として光る」。こうした学生それぞれの「凹凸(おうとつ)」を自覚し、互いに補完し合うことで、一人では到達できない成果をチームで生み出すプロセスを学びます。

◆4年間で描く「知の自走」へのロードマップ

1年生で土台を築いた学生は、2年次以降、より高度な比較分析や、自身の考えを論理的な文章にまとめる「アカデミック・ライティング」へと歩みを進めます。最終的には、自身の活動をデータで裏付けし、説得力のあるレポートとして表現できる状態を目指します。

考える力 授業イメージ

大学での4年間は、学生が自身の感性を大切にしながら、社会という大海原を渡るための「知の手法」を手に入れる期間。横浜商科大学は、教員と学生が共に問い続ける、手応えのある学びの場を提供していきます。

神﨑 史彦(かんざき ふみひこ)
横浜商科大学 商学部 特任准教授

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。専門は教育学、初年次教育を中心とした教育実践研究。
長年、高大接続(高校教育と大学教育の連携)の第一線で活動し、小・中・高・大の各段階における「探究学習」や「思考力育成」のカリキュラム開発に携わる。
横浜商科大学においては、全学共通科目「考える力」の設計・運営を中心に、学生が実社会での体験を論理的な知性に変換するための教育メソッドを構築。単なる知識の伝達にとどまらず、対話やリフレクション(内省)を通じて学生自身の内発的な「問い」を引き出す指導に注力している。著書・監修書に、小論文や探究学習に関する参考書など多数。

問い合わせ先
横浜商科大学 商学科 総合教養センター
神﨑 史彦 特任准教授(教員紹介へリンク
発信部署
横浜商科大学 IR・情報メディア部 大学広報係
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