ブックタイトルビジネスフロンティア2016
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ビジネスフロンティア
5の歴史と関連づけて紹介するとより興味深いものとなります。愛知県が展開する「中京圏の産業立地・集積は名古屋城築城に始まった」というストーリーはそうした代表です。田川 画一的なビジネスモデルを全国展開してどうにかなる話ではなく、一つひとつの地域に根差した独自の魅力を発見することが重要な鍵になってきます。その意味では、47の都道府県単位で検討・対応するだけでは不足で、300に分かれていた江戸時代の「藩単位」で日本をひもといていく方がよいのではないかという議論もよくしています。羽田 そうして発見した地域の魅力や生活文化を、小中高生に伝えて行く教育プログラムの必要性も感じますね。子どもたちに自分の故郷を学んで貰うことは、将来の地域を担う人材育成にも結び付いていくのですから、それを教育カリキュラムに組み込んでいくことが必要だと思います。。観光業が担うべき大きなテーマ田川 今、教育の話が出ましたが、最近やや引っ掛かっていることがあります。国際的な場で日本が語られる時、必ず「平和」というキーワードが出てくるわけですが、子どもたちに対して、平和教育というものをしっかり行っているかというと、必ずしも十分ではないと思うのです。広島平和記念資料館を観光なさったある外国人の方に言われたのですが、「なぜ日本は、この地に国連の平和事務所本部みたいなものを置こうと提案しないのか、なぜもっと教育の現場として活用しないのか、なぜそのような働きかけを、観光に関わる人間が担わないのか」と。私は返答に窮しました。世界においては既に、観光業に課せられている役割は極めて大きく、環境や平和、教育にまでテーマを広げて取り組んでいる。翻って「観光立国」を謳う日本の現状はどうでしょうか。手つかずの課題がまだまだあると、痛感せずにはいられませんでした。羽田 まったく同感です。また観光をとおした平和教育という点では、広島あるいは長崎、そして沖縄の南部戦跡、さらに鹿児島県知覧の特攻平和会館には一度は行ってほしいと思っていますし、そういう働きかけは大切ですね。重要なのは種を撒き続けること田川 昔を振り返ると、「歳を取った」と言われそうで嫌なのですが、昭和20?30年代、日本がゼロから国を立て直そうと産業復興、産業開発、国土開発に邁進した頃の、あの物凄い意欲をもう国人客を呼び込み、活性化につなげたいという狙いがありました。羽田 先ほど交通基盤や宿泊などハード面の話もありましたが、ソフト面の充実が伴わなければ、観光をとおした地方の活性化は実現できません。まだまだ全国各地には埋もれてしまっている観光資源が多いわけで、そこに光を当てることは大変意義深いことです。近年注目されている産業観光も、地域における産業立地■観光・旅行業の取り組む新しい市場■ツーリズム観光とは出典:2009年田川博己作:早稲田大学TIJ寄付講座「ツーリズム産業論」資料より出典:2012年田川博己作:早稲田大学TIJ寄付講座「ツーリズム産業論」資料より