ブックタイトルビジネスフロンティア2016
- ページ
- 5/36
このページは ビジネスフロンティア の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ビジネスフロンティア の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ビジネスフロンティア
4入れに取り掛かるべきです。ただ、闇雲に利便性を追求すればよいという話ではありません。何より肝心なのは「歓迎の心が表れているか」「日本らしさがあるか」です。羽田 利便性とホスピタリティは必ずしもイコールではない。そこに対する気付きがあるかないかの差は大きいですね。田川 残念ながら日本人にはまだまだその感覚が薄い。「便利なものが全て正しい」という方向へ走ってしまいがちです。海外に出れば不便と感じるモノ・コトは山ほどあります。でもそこが魅力だったりするわけで。欧州はよい見本になります。利便性に捉われず、敢えて古き良きものを残し、それを楽しむという文化が育まれている。羽田 欧州は確かにそうですね。大都市・中小都市、そして農村部を問わず、旅行者を受け入れる対応にバランス感覚を感じますね。普遍的に必要な機能の整備と固有の魅力の継承が自然と行われているように思えます。インバウンドは国際交流の鍵田川 海外の方々から学べることは本当に多い。その意味でインバウンドの波は、今の若者たちにとってもチャンスだと思うのです。羽田 国際交流機会が必然的に多くなりますものね。田川 私たちは、それこそ体験記『何でも見てやろう』の小田実や旅行作家の兼高かおる、日本航空提供のFM深夜番組『JETSTREAM』に影響を受けた世代で、「とにかく日本にいてはダメなんだ、世界に出よう」という感覚があった。戦争体験を持つ父親世代から、「世界を見れば、平和を維持できる」と教わっていたことも影響として大きい。でも今の若者たちにはそういった動機づけがないのです。羽田 だからこそ今日、インバウンドの拡大は、若者たちの国際交流につながる絶好の機会だと。田川 私たち世代が初めて海外の人たちや文化に接した時に得た大きな感動を、今の高校生や大学生にも味わって欲しい。そのような気持ちがあります。羽田 田川会長は以前からインバウンドだけでなくアウトバウンドの重要性にも着目し、「ツーウェイツーリズムによる交流立国の実現」を説かれています。その担い手になるのは間違いなく若者たちですね。田川 若者の海外旅行離れがよく取り沙汰されていますが、これは決して見過ごせない、由々しき問題だと捉えています。若者の国際観光交流促進・支援に積極的に取り組んで行きたいと思っています。観光をとおした地域・都市の振興が日本を活性化させる羽田 日本の活性化には、裾野が広い観光産業の振興をとおした地域・都市の活性化が欠かせません。その意味でも地方における国際観光交流の拡大は避けては通れない大きな課題です。JTBさんはかねて「旅行業から交流文化産業への進化」を唱え、その関連で「DMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)」として地域とともに、地域の資源をオンリーワンの価値として発掘・活用・演出、 提案する事業を展開されていますね。田川 年々少子高齢化が進展し定住人口が減少する日本の地方ですが、観光資源を掘り起こし、磨きをかけ、広く発信していくことで、国内旅行者はもちろん外■地域交流ビジネスにおけるDMC戦略?従来型の旅行業から交流文化産業への進化?①交通・宿泊・食事の旅行消費分野から⇒地域資源を活用した「体験」「行動」の生活・行動消費ビジネスへの参入②旅行造成・販売・営業事業から⇒地域社会・産業活性化の総合プロデュース・コンサルタント事業への参入③地域の顧客・企業の発旅行(アウトバウンド)営業から⇒地域への来訪客の着営業(インバウンド)事業への加重DMC(Destination Management Company)への進化豊富な地域の智恵、専門性、資源を所有し、イベント、アクティビティー、ツアー、輸送、運送計画をデザインし、提案することに特化した、プロフェッショナルなサービスを提供する会社。出典:2009年田川博己作:早稲田大学TIJ寄付講座「ツーリズム産業論」資料よりHada Koji × Tagawa Hiromi