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概要

ビジネスフロンティア

3田川 例えば、観光地にある重要文化財に指定された建築物。いつ誰が造ったものなのか、どんな造りをしているのかなど基本情報は大抵紹介されていますが、なぜ造られたのか、歴史的背景はどのようなものだったのかまでを深掘りして、語られていることはほとんどありません。羽田 日本に興味を持つ外国人観光客はきっとそこが知りたいはずであり、価値を感じるところですね。今、自分の国の歴史文化や伝統産業の形成風土を尋ねられても、答えられない日本人は多いかも知れません。田川 温故知新、温故創造と言いますか、我々観光業に携わる者は、歴史や伝統を学び、現在の潮流を見極め、今後どのような観光が求められ喜ばれるのかを常に考えていなければなりません。いわば、過去、現在、未来を行ったり来たりしながら、価値あるコンテンツを創造していくことが仕事。根本でそれを理解していないと、とても観光客を感動させることは出来ませんし、本当の意味での集客は難しいと思います。羽田 日本はその辺りがまだ工夫が足りませんね。海外には観光魅力の創造・演出能力の高い国が多くありますが。田川 積極的に海外に出ることをすすめたい理由はそこにあります。海外から日本を見ることもかけがえのない経験になる。日本の玄関には歓迎の心を羽田 外国人観光客受け入れのためのインフラ整備が急務になっています。一昨年くらいから宿泊、輸送のキャパシティが限界に来て、特に貸切バスなどはアップアップしている状況。そもそも空港や港湾といった受け入れ基盤の整備が必要だと感じています。また国際競争力のある観光地づくり、都市・地域における美しい景観形成、通訳案内士の拡充や、観光商品の開発・販売など、取り組むべき課題は多いです。田川 日本には98もの空港がありますが、国際線は東京、名古屋、大阪に集中しています。地方空港発着の国際観光交流需要を増やさなければなりませんね。港湾はターミナルの整備、出入国管理体制の整備が必要不可欠です。豪華客船で訪れた外国人観光客を倉庫街のような港で迎え入れるのは恥ずかしい。羽田 ソフトな「おもてなし」はともかく、空間・環境・施設といったハード面でのホスピタリティには欠けていると感じます。田川 空港も港湾もいわば日本の玄関。まして「おもてなし」を謳い文句にするならば、すぐにでも梃■訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移出典:日本政府観光局(JNTO)。2015年は推計値  引用:観光庁「http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html」