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概要

ビジネスフロンティア

2が、それはあくまで必要条件です。それとは別に、様々な視点で、日本の観光を強化していかなければなりません。羽田 昨今のインバウンドの加速は為替の円安も追い風になっているわけですが、国内外ともに観光市場の質・量が大きく変化する中で、改めて観光の何たるかを根本まで見つめる必要性を感じています。田川 日本には素晴らしい観光資源がたくさんあります。しかし必要なのは温故知新温故創造羽田 わが国では当面、2020年に日本の国際交流人口、つまり「イン」と「アウト」をあわせた交流人口を4000万人とすることが目標になっています。田川 目標の達成はもちろん、「どのようにして達成するか」も重要だと思っています。ビザの緩和など国の政策は欠かせませんのあるもののはず。少々目先のことに捉われ過ぎ、近視眼的になっているのではないでしょうか。田川 今、観光の分野で求められているのは、大局を見通したうえで、細部まで考え抜かれたグランドデザインです。世の中ではオリンピックイヤーである2020年を大きな節目と見る向きが強いですが、私はもっと先までを見通したビジョンづくり、骨太で計画的な枠組みづくりが重要だと考えています。羽田 オリンピック以降を視野に入れることはロンドンの例をみても本当に大切ですね。また国連世界観光機関でも、2030年には全世界の国際観光客数が到着ベースで延べ18億人規模に達すると推定しています。田川 今こそ10年、15年先を見据え、長期的な計画を立て、産官学、省庁連携で観光事業・観光産業の振興に取り組んでいかねばならないと考えています。上辺を撫でただけの紹介しか行えていないことに、大きな課題があります。自分の国の歴史や文化、伝統、技術などを徹底的に学び、観光客に対してどうアプローチすれば本質的なものが伝わるのかを考え抜かなければなりません。それは「観光をデザインする」という作業でもあるのですが、まだまだ日本は未熟と言わざるを得ません。羽田 バックボーンに目を向けることは、モノ・コトを深く理解する上で非常に大切ですね。Hada Koji × Tagawa Hiromi■拡大する世界の国際観光市場出典:UNWTO「Tourism 2020 Vision」より作成世界人口はUN. World Population Prospects: The 2008 RevisionUNWTO( 世界観光機関) の試算では、東アジア・太平洋地域への国際観光到着客数は、2008年の1.74 億人が2010 年に約2 億人に、2020 年には約4 億人に増加する見通し( 世界人口;69.1 億(2010) → 76.8 億 (2020))。一方、同地域に占める日本のシェアは4.58%(2000 年) から4.81%(2008 年) へと拡大