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概要

ビジネスフロンティア

22魅力的に見せるか」にこだわった展示を心がけています。ここサンシャイン水族館は“水族館=海の近く“という立地条件から外れた、高層ビルの屋上にあります。その弱点を逆手に取り、都会で癒しを求める大人をターゲットにして「天空のオアシス」というコンセプトを設けました。その結果、来客数は倍増し、1年間で224万人を動員。水族館が“海に行きたいと思っている人全て“をマーケットにできる、優れた集客施設になったのです。人口の半分以上は「バリアフリーマーケット」私は三重県出身の縁で2001年に始動した「伊勢志摩再生プロジェクト」の委員に就任し、当時の県知事、北川正恭氏から「一過性のイベントに頼るのではなく、将来まで残るプランを考えてほしい」とご要望を受けました。水族館プロデューサーとして培った「顧客起点に立てば自ずとマーケットは広がる」という発想を、地元の観光地再生にも生かせないだろうか…。そう思った私は、ここでもまず現状の調査から始めました。そうすると「旅行に行きたい」気持ちは万人共通であり、バリアフリー化は障害のある方だけでなく、階段や和式トイレがつらくなった高齢者や妊婦の方、体力に自信のない女性の方にも喜ばれることがわかりました。高齢化が進む日本社会では「人口の半分以上はバリアフリーマーケット」と言えるでしょう。私は「あらゆる人にとって快適で、なおかつ観光地としての魅力を損なわないバリアフリー化」を伊勢志摩が全国に率先して進める提案をしました。「バリアフリー観光」のコンセプトは、必要なバリアはそのままに、工夫をすることで、みなさんが同じ場所で同じように楽しめる旅行ができることです。例えば畳の部屋を無くすのではなく、車いす★“新しい観光”から生まれる新しいビジネスのヒントとは?Nakamura Hajime大学では経済学を学び、鳥羽水族館に入社。2002年、「水族館プロデューサー」として独立。新江の島水族館のプロデュースと展示監督、サンシャイン水族館、北の大地の水族館のリニューアルを手がけ注目を集める。近年では「バリアフリー観光」の普及促進にも取り組んでいる。<池袋サンシャイン水族館>日本初の屋上型水族館として1978年に誕生。2011年には中村氏のプロデュースにより“天空のオアシス”をコンセプトにリニューアル。多種多様な生き物の生命の営みを見せること、アミューズメント施設としてのエンタテインメント性は維持しつつ、全く新しい非日常空間として「癒し」「安らぎ」「くつろぎ」「ココロ動かす、発見」を提供する、“大人も満足できる水族館”として生まれ変わった。また、ハード面・ソフト面ともにバリアフリーの環境を整えた施設としても知られる。2015年、世界最大のトラベルサイト「トリップアドバイザー」において、世界中の優れたホスピタリティを提供する施設として「エクセレンス認証」を獲得。http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/と同じ高さでスムーズに腰を下ろせるよう、少しバリアフリー化をしただけで喜ばれている旅館があります。脚腰の弱い高齢者の方にも好評だそうです。「バリアフリー観光」の普及には、個々のニーズに合わせた情報発信も必要です。そのため、バリアフリー旅行案内センターを伊勢志摩と全国に展開し、インバウンド向け窓口も開設。サミットやパラリンピックで、海外からの誘客も期待しています。私の持論は、増客しないと観光とは言えない。「バリアフリー観光」について業界全体で知恵を絞り、日本各所で進化させていくべきではないでしょうか。障害者や高齢者の旅行者に、伊勢志摩の観光施設や宿泊施設などのバリアフリー観光情報を発信しているNPO法人が運営するサイト。伊勢志摩バリアフリーツアーセンターが運営するインバウンド観光向けのサイト。■伊勢志摩バリアフリーツアーセンター■Accessible Travel Iseshima & Ninja