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概要

ビジネスフロンティア

21顧客ニーズを自ら調査私は現在、水族館プロデューサーと、バリアフリー観光情報を発信するNPO法人理事長、二つの仕事に関わっています。どちらも「もっと幅広いお客様に来て、楽しんでいただきたい」という目的は同じ。そのためにはまず「どういう方たちが何を求めて観光地や施設を訪れるのか、どうすれば満足されるのか」を、自ら徹底的に調査します。というのも、今まで「水族館は子どものいる家族連れが来る所だろう」、「旅館をバリアフリー化しても費用がかかるだけで、集客には結びつかないだろう」などといった声を多くの観光地や施設で聞きましたが、私が現地調査をしてみると、実情は大きく違っていたからです。既成概念による思い込みにとらわれていたり、集客を旅行代理店に任せきりにしていたりすると、実は多くいる潜在顧客をつかめません。観光地や施設が自らリアルな顧客ニーズを正確に把握し、顧客視点をしっかり持つことができれば、そこから集客方法を見いだすことも可能です。発想と努力次第で、マーケットはまだまだ広がっていく可能性を秘めているのです。なぜ人は水族館に来るのか経済学部卒の私は、生物に関する専門知識がないまま鳥羽水族館に入社しました。だからこそニュートラルな目線で、「どの水族館も生物のスペシャリストが愛情を込めて飼育に取り組んではいるが、顧客起点まで意識が行き届いていないのでは?」と気づくことができ、「なぜ人は水族館に来るのか」というテーマを追求するようになりました。長い間“水族館=子どもの社会教育施設“というとらえ方がごく一般的でした。しかし実際、水族館の年間利用者の約8割は大人です。私は全国120を超える水族館で利用者の行動調査を続けているのですが、大人のほとんどは「生物単体」でなく、「水中の世界を味わう」ために訪れていることがわかりました。以来、私が水族館をプロデュースする際には、顧客ニーズを満たせるよう、「水中の世界をどう「日本で唯一の水族館プロデューサー」として、“子どもの生物観察”から“大人の文化”へと水族館の在りようを変え、奇跡的な集客増を実現した中村元氏。既成概念にとらわれず、自ら調査して顧客ニーズをつかみ、マーケットを拡大する手法は「バリアフリー観光」の普及活動にも生かされています。顧客起点でニーズをつかめばマーケットはさらに拡大する株式会社中村元事務所 代表取締役 日本バリアフリー観光推進機構 理事長伊勢志摩バリアフリーツアーセンター 理事長中村元氏