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概要

ビジネスフロンティア

15スポーツ営業において基軸となるのは、「運営」「観戦」「参加」。この三つの観点からスポーツを捉え、そこに生じる人の動きにビジネスチャンスを見出すのが仕事です。例えばテレビで海外の試合を観ていると、観客席に日本人の姿を見つけることがあります。するとこう思うわけです。「この方々はどんな交通手段で日本からやってきて、どこに宿泊しているのだろう。お手伝いできることはないだろうか」心を震わせるスポーツの力多くの競技団体が入る岸記念体育館に足繁く通うなど、地道な営業活動を続けること10年。「ビジネスとして間違いなくやって行ける」と確信させてくれたのもまた、オリンピックでした。1998年の数々のドラマを生んだ長野オリンピックが、「希望と感動を生むスポーツの力」を世間に知らしめ、浸透させたことは間違いありません。私には忘れられない競技大会があります。全ての宿泊と輸送を営業統括責任者として担当した、2007年の「世界陸上選手権大阪大会」。4千人を超える関係者への対応、延べ10万人分のベッドの手配、延べ3千7百台のバスのコントロールなどに奔走しましたが、現場に混乱は付きもの。不測の事態が起こっても嫌な顔一つせず対応してくれたスタッフや、緊急要請に飛んで来てくれた同僚がいなければ大会の運営は不可能でした。2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」は、そんな「世界陸上選手権」の、数十倍を超える規模になるはずです。最終的に現場を支えるのは「人間力」。いかに心を一つにして取り組める組織をつくれるか。日本の本領がいよいよ試されます。経験・失敗に優る財産はないもしも近畿日本ツーリスト・スポーツ事業部の強みは何かと日本の観光を躍進させるスポーツツーリズムの可能性1988年のソウルオリンピックとのなにげない関わりは、入社3年目だった石川明彦氏に、「スポーツは観光ビジネスにとって、重要なコンテンツになる」との強い思いをもたらしました。以来30年近く、スポーツツーリズムを軸に精力的な営業活動を続けてきた氏に、東京オリンピック・パラリンピックへの意気込みや展望についてお聞きしました。近畿日本ツーリスト 営業統括本部 スポーツ事業部 課長石川明彦氏ビジネスを広げる新たな視点旅行会社には二つの大きな団体事業の柱があります。一つは企業、自治体、各種団体をお客様とする「一般団体旅行事業」。そしてもう一つは学校法人をお客様とする「教育旅行事業」です。この二つの柱に、スポーツという横串を通すと、様々な営業コンテンツを生み出せるのではないか。そんな視点を持ったのは、1988年、ソウルで開催されたオリンピックがきっかけでした。まだ「スポーツツーリズム」という概念が世の中になかった時代、すぐには具体的な会社の動きに結びつけることは出来ませんでしたが、「必ず観光ビジネスの新たな領域になる」と情熱を燃やし、自分なりにスポーツ業界へのアプローチを始めたのは、この後です。