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カリキュラムについて

カリキュラム

 カリキュラムは、基礎科目、データサイエンス科目、価値創造科目、演習科目の4種類から構成しています。基礎科目は文字通りの全体の基礎となる科目であり、その後の学習の入門となる科目となります。データサイエンス科目ではデータサイエンスでの知識とスキルを学び、データ分析の技術を身につけます。価値創造科目では経営・マーケティング・会計などを学び、データ分析技術をどう使うかという課題を見出す科目になります。演習科目では解決案を考案し、コミュニケーション能力を磨きながら、最終的に修士論文にまとめます。



基礎科目

 基礎科目は3科目から構成しています。「データサイエンスと商学」はそもそもデータ分析とはどういうことであるかを統計学の基礎から振り返り、データサイエンスのさまざまな手法を概観します。この科目はデータサイエンス科目群の入門となる科目になります。「経営とデータサイエンス」は、経営学においてどのようにデータ分析が行われてきたかを概観し、経営でのデータ活用の課題発見方法を学びます。この科目は価値創造科目群の水先案内人になる科目です。「情報セキュリティ論」は、データ分析をして解決提案を行う際、個人情報保護や情報漏洩防止などに配慮することが不可欠なので、学習初期段階で学んでおく科目になります。

データサイエンスと商学 必修 2単位 データサイエンスで使う統計的分析手法を概観し、商学への応用としてどのような分析手法がありうるのかの見通しを得る。
経営とデータサイエンス 必修 2単位 経営戦略論・組織論の基本的・伝統的な理論を体系的に学び、経営上の課題についてデータサイエンスを活用して解決している事例を学ぶ。
情報セキュリティ論 必修 2単位 リスクと脅威、暗号と認証による情報セキュリティ技術、個人情報保護や著作権保護といった情報倫理について学ぶ。



データサイエンス科目

 データサイエンス科目はデータ分析の知識とスキルを教える科目群です。統計分析の手法を学び、プログラミング技術を身につけ、分析モデル作成の技法を身につけます。中核となるのは「データアナリシス1、2」で、これらは必修となります。発展として「プログラミング論」、「データ処理論」、「機械学習論」、「データモデリング」があります。これらデータサイエンス科目群では、データサイエンスで使われる分析手法とこれにより導き出される知見がどのようなものであるのかを学びます。すなわち、実際のデータを使った演習的な学習を行いながら、統計分析ツールやプログラミングの知識とスキルを身につけます。統計分析ツールはRを、プログラミング言語はPythonを予定しています。
 講義内容はデータサイエンスで使わる計量分析の手法群の中で、企業経営に応用可能な手法を中心とします。高度な数学処理やプログラミング技術よりも、実際の経営分析に役立てる手法に注力します。統計分析の例でいえば、重回帰、時系列、パネル、因果分析になります。ロジットなどは経営分析に関連してよく使う手法ですが、数量化II類や多次元尺度法など心理学・医学で使われる手法は扱いません。経営・マーケティング・会計で実践的に使う手法に集中します。その代わり、すべての手法の学習の際に実際にデータを使った演習を行い、使いこなせるようにします。

データアナリシス1 必修 2単位 統計的分析手法を学ぶ。重回帰、時系列分析、サンプリングバイアス、DIDなど、経営やマーケティングなどで使う手法を実習をしながら学ぶ。
データアナリシス2 必修 2単位 統計的分析手法を学ぶ。重回帰、時系列分析、サンプリングバイアス、DIDなど、経営やマーケティングなどで使う手法を実習をしながら学ぶ。
プログラミング論 必修 2単位 データ解析の時に使うプログラミング・スキルを身につける。言語はPythonを予定する。各種の自動処理やスクレイピングに役立つ手法を中心に学ぶ。
データ処理論 選択 2単位 収集したデータについて、解析のためにはどのような処理を行う必要があり、またどのようなアルゴリズムを用いて解析を行うのかについて学ぶ。
機械学習論 選択 2単位 この講義では、実習を通じて、機械学習を用いた、経営上の課題や社会的課題の解決ができる力を学ぶ。
データモデリング 選択 2単位 データ分析の手法を実際の経営分析に使った事例を系統的に学ぶ。



価値創造科目

 価値創造科目は、経営学、マーケティング、財務会計など商学系の視点からデータ分析およびその結果をどう使うかを学ぶ科目群です。「経営戦略論」、「組織行動論1、2」、「マーケティングリサーチ特論」、「ソーシャルメディアマーケティングと消費者行動」、「スポーツアナリティクス特論」、「会計情報論」、「経営分析論」は、いずれも経営における主要なテーマであり、これらのテーマでデータ分析がどう使われているか、あるいは使われうるかについて講義をおこないます。なお、ここに挙げられた科目の名称にはデータサイエンスあるいはデータ分析の文字はありませんが、これは煩雑さを避けるためで、内容的にはすべてデータ分析・データサイエンスを含んでいます。たとえば、経営戦略論は内容的には企業戦略論とデータ分析とでも呼ぶべき内容になります。
 また、経営分析論と会計情報論は企業の営業データを分析する際の前提なる基礎知識を与えるものであり、スポーツアナリティクス論はスポーツにおける事業体の経営とマーケティングにおいてデータを使って分析します。これらはいずれもデータ分析の前提あるいは応用となります。 価値創造科目は内容的には図のように経営、マーケティング、会計の3種類に分かれます。この3つはそれぞれ履修時のコースとなり、修士論文のテーマに対応しています。たとえば経営学的なテーマ設定をした学生は経営のコースの科目を習得することが期待されます。
 一部の講義では学生とともに演習的な共同作業も行います。本学では地元の企業や商店街などとの共同研究の蓄積があり、そこから得られたデータを使った実践的な講義も行います。データサイエンスの知識とスキルを身につけても、それを経営課題にどう使うかを知らなければ応用はできません。この商学系への応用科目は、実際の経営の場にどんなデータがあり、どう使われているかを知ることで、経営課題を見出す力を身につけるための科目となります。

経営戦略論 選択 2単位 「データサイエンスから導出される知見を活用して実践的で効果的な方策」を見出している事例等を経営戦略の基本的なフレームワークを活用して学ぶ。
組織行動論1 選択 2単位 組織の中の個人や集団の組織・態度のメカニズムを学ぶ。研究方法(主に量的なデータ分析)についても学ぶ。
組織行動論2 選択 2単位 組織行動論1の知識を従業員の組織行動についての理論に応用する。研究方法(主に量的なデータ分析)についても学ぶ。
マーケティング
リサーチ特論
選択 2単位 企業のマーケティング事象と関連付けて、実際のデータ収集から分析レポーティングの方法論や考え方について学ぶ。





ソーシャルメディア
マーケティングと
消費者行動
選択 2単位 ソーシャルメディアを活用したマーケティングについて学ぶ。デジタルを前提とした消費者行動を理解し、デジタルを活用した経営上の課題解決策について学ぶ。
スポーツ
アナリティクス特論
選択 2単位 スポーツの現場におけるデータの収集・分析・活用方法及びデータと経営・マーケティングとの関係について学ぶ。
会計情報論 選択 2単位 利害調整機能及び意思決定支援機能等の会計情報の機能について学ぶ。
経営分析論 選択 2単位 財務データの分析、分かりやすく説明するプレゼンテーションスキル、ディベートの方法について学ぶ。



演習科目

 「演習」とは学生全員が1年次生の秋学期から卒業まで1年半にわたって継続履修する科目で、大学院教育の中核となる科目です。演習は必修で全学生が履修することとし、教員は3人体制で指導します。演習の目的は、研究活動を進める上で多様な分野における最新の研究内容の理解を深めることであり、その時代の重要な課題あるいは学生の興味関心にそってテーマ設定行い、毎回、論文を指定して学生が報告・発表を行い、これを討議します。
 2年次生になってからは学生自身の研究についての発表を行い、修士論文に資することもあります。3人の専任教員をおくのは、統計分析、経営学、プログラミングのように異なる専門領域をカバーするためです。毎回の演習時には3人の教員が異なる視点からコメントと指導を行い、学生からの多様な質問に答えます。
 また、経営上の課題を見つけてデータ分析の手法を適用する力を得たとしても、解決策をみつけ、それを効果的に相手に伝えていくためには、多くの人の前で案を発表し、討議を繰り返してコミュニケーション能力を高める必要があります。いくら良い提案でもそれを相手に伝える能力が無ければ実現しません。分析と解決策がひとりよがりにならないためにも、そして、また将来企業に入ったときに自らの案を効果的に人に訴えるすべを見つけるためにも、演習での発表と討議で鍛えられる必要があります。そのために、演習では発表と討議を何度も繰りかえし、コミュニケーション力を高めます。コミュニケーション力を高めるための具体的な方策として、この演習では外部からの評価者、特に企業からの参加者を招くことを予定しています。本学は横浜の企業とつながりが強く、学生の報告の場に企業の実務家を招くことは十分に可能です。実際に実務を行う企業の方にわかるように報告し、フィードバックを受けることで学生のコミュニケーション力が鍛えられていきます。また、複数の企業担当者と、さらに本学の学部の関連領域の教員も加えて拡大報告会を開き、学生の発表の場として位置付けて学生の力を高めることも考えています。
 「研究指導(修論指導)」とは修士論文の指導のための科目であり、1年間を通じて課題設定、データ収集、分析執筆までを指導します。本研究科のすべての指導教員が対応に当たります。ただし、専門分野にあわせた担当教員を一人決め、毎週の対応はその人があたることとします。研究指導(修論指導)は2年次生の春学期から1年間にわたり継続して行われ、一人の指導教員が修士論文の完成まで指導します。

演習1
演習2
演習3
必修 6単位
(2単位✕3)
研究活動を進める上で必要な多様な分野における最新の研究論文を学習する。毎回、論文を指定して学生が報告・発表を行い、討議する。指導教員3人で1年半の長期にわたり学生を指導する。
研究指導(修論指導)1
研究指導(修論指導)2
必修 6単位
(2単位✕3)
修士論文の指導を行うための講義で、学生の多様な興味関心に応えるため体制としては全教師が対応する。もっとも専門の近い教員が指導教員となり、1年間にわたり修士論文完成まで指導を行う。