地域産業研究所

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横浜商科大学の地域産業研究所です。

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 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を本学の学生記者が担当しています。

 今回は、株式会社乙部鉄工所に伺いました。取材を担当したのは、高羽地域産業研究所研究員、学生記者笠間(商学科2年)です。

【株式会社乙部鉄工所の沿革について】

 株式会社乙部鉄工所は、1957(昭和32)年に化学・建設・鉱山用機械器具の製作据付工事を主な業務内容として創業。現在は、独自の溶接技術を駆使し、高圧ガス化プラントの設計施工、高圧ガスの圧力容器などの特殊機器の製作、改修なども手掛けています。
 
 過去には、愛知万博での石炭ガス化プラントの製作、施工、据え付けなどを手掛けたこともあるそうです。また、国の政策の一環である、石炭をガス化設備のモデル材の製作等の実証実験にも協力し、現在は使用された部品の修理や改造を行っています。

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 (取材の様子)

【マンロック製品について】

 圧力容器は、大気圧と異なる圧力の気体や液体を貯蔵するために設計された容器です。最近は、トンネル工事で堀削を行うシールドマシンの中に、作業員が出入りする為のマンロックという気密性の高い密封容器の受注を多く手掛けています。首都高横羽線と第三京浜を結ぶ横浜北線の工事にも使用されたそうです。容器の耐久性を保つための技術の高い溶接を行っているそうです。各重工メーカーからの受注を受けています。
 
 先代の時には、深海に挑むことができる潜水艇に使用されている部品のテスト用に、1000キロの水圧がかけられる容器を作った実績があるそうです。鶴見区鶴見中央2丁目にある株式会社鶴見精機の試験装置も手掛けており、地元企業との連携にも積極的に取り組んでいます。

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(製品について説明していただく様子)

【EMC電波暗室、電磁波シールドルーム製造】

 乙部鉄工所では、EMC電磁波暗室、電磁波シールドルームの新規製造・設置も行っています。従来の組み立て式と比べ価格・納期・品質において競争力のある新施工システムを開発し、特許も取得しています。

 EMC電波暗室は、電子機器から放射されている電磁妨害波の電界強度の測定、試験などを効率的に行う施設です。また、電磁環境を電磁気的に隔離するために設計された部屋がシールドルームといい、電磁妨害波の測定室・病院の電子機材を設備した医療室・機密に係わるコンピュータールームなどに使用されています。

 近年、日常生活でパソコンをはじめとする電子機器が多く使用されるようになり、それに伴い電磁波による人体へ与える影響や受信障害、誤動作などが大きな社会問題になっています。「外部に電磁妨害波を出さない」と「外部から電磁妨害による影響を受けない」を両立させるのがEMC対策で、様々な機器の製品設計や開発段階から強く求められています。

 乙部鉄工所が製造する、耐久性が高く、シールド遮断性能が高い製品は、従来の組立技量の偏差によって生じる各パネルの継ぎ合せ部の性能偏差などがなくなり、継ぎ合せ部の修理の時間や費用、チェック回数などを節約することができます。過去には、矢崎総業株式会社をはじめ、松下通信工業株式会社、音響メーカーのティアック株式会社に納入工事した実績があります。

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(EMC電波暗室)

【その他事業】

 乙部鉄工所では、鋼板製溶接容器や圧力容器、特殊容器用などに使用する鋼板の板曲げも行っています。厚さ22㎜、幅3,000㎜の鋼板等を円筒形やU字型、円錐型などのさまざまな形に加工できる機械を用いて、大型で高品質な製品を作り上げています。また、曲げ加工前の開先加工、曲げ加工後の溶接仕上げまで一貫して行うことも可能だそうです。

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(加工前の鋼板)

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(加工後の鋼板)

【社長が大切にされていること】

 乙部社長は、社員同士の現場でのコミュニケーションとチャレンジ精神を求めています。受注した製品に対し、どのようにつくりあげていくのかなどを現場で相談しながら進めているそうです。また、製造過程で問題点が発生した場合は、受注先の担当者と一緒になって改善策を考え、斬新なアイデアを提案し、それによって新しい発見もあり、新規受注につながることもあるそうです。

 乙部鉄工所の取り扱う製品には、溶接技術や施工に対する知識が欠かせません。高圧ガス保安法や電気・ガス事業法によっては、溶接資格の種類が異なり、乙部鉄工所はそれぞれ基準を満たした溶接士が多数在籍しています。乙部社長は「お客様からいただく様々なニーズに応えるため、社内では熟練者から若手社員への技術継承にも力を入れている。また、受注のこだわりとして、コストありきのオーダーはお断りする。」とおっしゃっていました。また、高品質を保つよう心掛けています。

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(取材にご協力していただいた乙部社長)

【取材を終えた感想】 

 今回の取材を通し、乙部鉄工所は溶接技術を生かし、私たちの生活を便利にするインフラ工事現場などで活躍する製品を提供している素晴らしい企業だと感じました。
 また、乙部社長は横浜商科大学の卒業生であることがわかり、より親しみを覚えました。先輩が第一線で活躍している姿がとても輝いて見えました。

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(乙部社長と商科大笠間記者)

★株式会社乙部鉄工所
http://www.otobe-tekko.com/index.html

 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を本学の学生記者が担当しています。

 今回は、株式会社羽田研磨に伺いました。取材を担当したのは、高羽地域産業研究所研究員、学生記者笠間(商学科2年)です。

【株式会社羽田研磨の沿革について】

 株式会社羽田研磨は、1958(昭和33)年に有限会社羽田研磨工業所として創業し、ゴルフ場などで使用されている芝刈り機の刃を研磨するところから始まりました。当時の芝刈り機は高級で、現在のように簡単に刃を研ぐ技術はなく、先々代の鈴木萬之助社長は独学で技術を向上させたそうです。その後、1979(昭和54)年に株式会社羽田研磨を設立し、創業時から培った研磨技術と経験を活かし、精密部品の加工や研削加工を中心とした事業を展開してきました。

 日本国内ベアリング業界最大手で自動車関連部品や精機製品を製造する日本精工株式会社の協力会社で、そのほかにキャノン株式会社、株式会社東芝からも受注を受けています。
 
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(学生記者の質問に熱心に耳を傾けている鈴木社長)

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 (鈴木社長)

【研磨技術が集約したスピンドル製造】

 ベアリングは、ものを回転や往復させて動かす部品の軸などを支持する部品で、摩擦を軽減するための重要な役割を担っており、あらゆる機械に使用されています。例えば、自動車関連部品に多く使用されていますが、冷蔵庫や掃除機、エアコンなどにも使われています。ベアリングの内径を削り、研磨する工具をスピンドルと言います。羽田研磨では、このスピンドルを製造しており、ミクロン単位にまでこだわって精密に研磨を行っています。スピンドルには、高い回転数を求めると、回転する際に力が分散しやすいため、十分な威力が発揮されない弱点があるそうです。羽田研磨では、機械で研磨された製品をオーダー規格と比べ、基準値に満たない部分の誤差については、熟練技術者の手作業によって微調整を行います。これによって、毎分20万回転する超高速回転スピンドルの製造も実現できました。
また、材料の調達から加工・研磨・組み立てまでを一貫して行うため、修理にも対応できるそうです。

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(熟練技術者の手作業による微調整の様子)

【羽田研磨の強み】

 鈴木社長は、「常にお客様に最高品質の製品を迅速に提供する」ことを大事にし、研磨業界のプラットフォームになることを目指しているとおっしゃいました。
 羽田研磨では、同業他社に比べ研磨機の保有台数が多く、独自の設計で製造されたオリジナル特殊機械もあり、様々な加工や研磨に対応できます。また、取り扱う素材は鉄、ステンレス、アルミニウムはもちろん、塩ビやカーボンのような珍しいものもあり、すべて国内産だそうです。さらにお客様の手間を省くことを考慮し、材料の調達をはじめ、加工から研磨、組み立てまで一貫して製造、管理しています。

 材料に目利きのある社員や熟練の技術者が多数在籍しているため、材料調達のみ、研磨のみのようなピンポイントでの受注も受けています。さらに、素材によって砥石を使い分けするなどの工夫も行っています。試作品依頼をはじめ、短期間の納期にも迅速に対応できるので、お客様から高い信頼を得ているそうです。

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(研磨前の材料一例)

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(研磨後の製品一例)

 それ以外に、同業他社との差別化を図るため、研磨の前後に行う表面処理として黒染めやテフロンコーティングなどメッキも扱っています。

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(黒染めされた製品)

【自社の技術継承】

 羽田研磨では、次の世代への技術継承にも力を入れています。研磨技術には、豊富な知識と現場での経験が重要とされます。例えば、研磨に欠かせないのは、金属などを研削、研磨するときに使う道具である砥石に関する知識です。砥石は種類が様々で製品の材質によって使い分けています。一番硬い物質のダイヤモンドは鉄や鋼の研削研磨に向かないという性質があり、ボラゾンは、高温下でも硬さが低下しない特徴により様々な鋼に使われています。

 また、現場での経験としては、製造過程でミクロン単位の誤差の手作業による調整があります。これらは、現場で先輩から後輩に一対一で技術を伝えることで、若手社員の技術力が向上し、精度の高い製品を生み出せています。これによってお客様からの信頼も厚く、大手企業などからの安定した受注につながっているそうです。
長きにわたり安定した製品の製造を支えてきたその技術も、次世代へと継承されています。

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(鈴木良太常務取締役より製品について説明を受けている様子)

【取材を終えた感想】 

 取材を終えて、自動車や洗濯機、冷蔵庫など私たちが普段何気なく使用している製品に、羽田研磨のような研磨会社で製造された製品が多数使用されていることがわかりました。また、羽田研磨は、技術力はもちろん、お客様からの相談に熱心に取り組む素晴らしい企業だと感じました。

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(商科大笠間記者と鈴木光雄社長)

★株式会社羽田研磨
http://hanedakenma.co.jp/

 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

 今回は、株式会社坂本茂商店に伺いました。取材を担当したのは、小林二三夫地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ大宮(商学科2年)です。

【会社の概要、沿革】

 株式会社坂本茂商店は、1958(昭和33)年に先代の坂本茂氏が現在も本社を置く鶴見区駒岡にて個人で建築資材販売店を開いたことに始まります。現在は、1972(昭和47)年に設立した獅子ヶ谷工場でハウスメーカーを主要顧客とした生コンクリート(以下生コン)の製造・販売を中心に手掛けておられます。
 
★CIMG1690.JPG(取材の様子)

【生コン製造と配送について】

 生コンは鮮度が命の製品。時間が経つとコンクリートが硬化し強度が落ちてしまうため、JIS規格では工場での積み込みから荷おろし現場到着までが90分以内と定められています。そのため坂本茂商店で製造される生コンは、工場から半径10km圏内で運送時間が片道40分以内の横浜市北部から川崎市南部エリアに集中しています。

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(ミキサー車への積み込み作業の様子)

 90分を超えた規格外の生コンは廃棄処分となります。また、納品が遅れると顧客の工期に影響を及ぼすこともあります。高品質な製品を迅速に納入するため、坂本茂商店では最新鋭の品質管理システムを導入、また早くから全ミキサー車にGPS付無線を搭載し道路の渋滞状況や現場付近での待機場所の有無等を加味した効率的な配送システムの構築に力を入れてきました。

 坂本茂商店では3t・4t・8tと大きさの異なる3種類のミキサー車を所有しています。近年は駅前や住宅密集地など車体の大きな8t車が入ることのできない狭い現場が増えたため小回りの利く3t・4t車の需要が伸びているそうです。ミキサー部分が電動となった低騒音の新型車両を順次取り入れることで環境への配慮にも努めています。

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(坂本茂商店が保有するミキサー車)

【経営方針】

 坂本社長は、2002(平成14)年に父親である先代から跡を継ぎ二代目社長に就任しました。先代は経営に関して言葉で語ることは少なく「うしろ姿をみて覚えろ」という職人気質の方だったそうです。そんな先代がうしろ姿で伝えた、まず頭を下げて挨拶し顧客に顔を覚えてもらえ、そしてそこから生まれる人とのつながりこそが会社にとってなによりの財産だ、という教えを坂本社長は今も大事にしておられます。リーマンショックの影響などで経営が大変な時期もあったようですが、近年は業績が回復し売り上げも伸びつつあるそうです。

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(取材を受けていただいた坂本一幸社長)

 坂本社長は、単に売上を伸ばすことよりも、景気に左右されず安定した売上を維持していくことを大事にされているそうです。そこには、高品質の製品を販売し続けていく覚悟と、共に働く従業員に長く安心して働いてもらいたいという願いがあるということです。

 また、約30社が加盟する神奈川県小型生コンクリート協同組合の理事長を努め、同業の組合員を統括する役割も担っておられます。生コン価格の変更や材料の共同購買など、組合員が団結することで互いに安定した工場経営が実現できると尽力されておられます。

【工場見学を通して】

 坂本社長へのインタビュー後、工場見学をさせていただきました。
 
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(試験室の様子)

 試験室では、現場に配送した生コンと同材料で作った供試体を水に浸けて養生しているものや、圧縮して強度を調べる装置を見ることができました。また、生コン製造プラント内に設けられた操作室では、運びこまれた材料を練り混ぜミキサー車に積み込む工程を見学させていただきました。生コンは施工者や現場、打設箇所によって配合が異なるため、材料の配分をコンピューターで調整・管理しながら出荷しているそうです。これはとても細やかな作業だという印象を受けました。

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(操作室の様子)

 機械やミキサー車による大がかりな作業がある一方、原材料である水・セメント・骨材・混和剤の量を配合によって微妙に調整して出荷する繊細な作業もあり、知識や熟練した技術の重要性を実感しました。

【取材を通しての感想】

 自分が過ごしている場所や生活の一部である建物・道路をつくる過程で、作業する方々の繊細な計算や、納品のための時間との勝負があることを知り、とても驚きました。
年々規制が厳しくなっていたり、原材料費が高くなっているという課題もあるそうですが、坂本茂商店のような企業が様々な対策をして、私たちの安心・安全な生活を支えてくださっているということを改めて知ることができました。もっとこういった地域のメーカーの仕事や、働き方などを多くの方に知ってもらいたいと感じました。

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(取材を受けていただいた坂本社長と学生記者大宮)

★株式会社坂本茂商店
http://www.sakamotoshigeru.co.jp/

20153月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

今回は、鶴見区元宮に本社を置く、田村工業株式会社に伺いました。取材を担当したのは、小林地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ唐(貿易・観光学科4年)です。


【会社の概要、沿革】

田村工業株式会社は、金属の熱処理加工及び、加工後の酸化スケールを取り除き表面仕上げを行うショットブラスト加工の専門工場として1959(昭和34)年に創業。その後、金属製品の曲り矯正加工、塗装加工の設備を新設し、都市ガスの導入、オートチャージシステム、水溶性焼入れ等、新しいシステムが集約した熱処理工場を完成させました。また、各種設備の設計、製作、施工、保全事業強化のため、積極的に同業会社を吸収した結果、現在は神奈川、東京、福島など、全国に11の工場を保有し、稼働しています。

田村社長は、「古い歴史を持つ金属熱処理業界の中では、田村工業は後発部隊という位置づけですが、今は金属熱処理のリーディングカンパニーとして、溶接を必要としない摩擦圧接や、金属表面に強度を付与する表面熱処理など、顧客ニーズに応える技術を提供しています。」とおっしゃいました。


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(取材の様子)


【主力事業・・・金属熱処理加工】

田村社長は、金属熱処理加工業界の位置づけと役割について図表を用いながら説明してくださいました。金属熱処理加工を支える産業は、主に鉄鋼を専門に作るメーカーを中心とする川上産業、熱処理をメインにする川中産業、部品を組み立て、完成させるメーカーの川下産業で構成されているそうです。田村工業は川中産業として、鍛造・鋳造・焼結・プレス・切削など加工された鉄鋼部品(素形材)に対し、金属の特性を生かす目的として熱処理加工を行っています。


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金属熱処理加工は特殊工程のため、依頼先企業から認定書を発行されないと、加工処理ができないそうです。事務所には、企業から発行された認定書が多数掛かっていました。ISO9001の認証を取得するなど、常に高品質を心がけお客様に満足していただけるように努力されているそうです。



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(事務所内に飾られた認定書や感謝状を拝見しました。)


熱処理加工は様々な手法があり、加工手法によって金属の性質が変化するそうです。例えば、熱処理前の粗い組織の金属は、一度加熱し急冷処置する焼入れ加工をすると、鋼の硬さを増大させることができますが、外部からの衝撃に弱い性質を持つ弱点があるそうです。それをもう一度適切な温度に加熱・温度保持する焼戻し加工を行うと、粘り強さが向上します。また、一定温度で加熱後、空気中で十分に冷却する焼ならし加工は、組織の不均一を除去し、軟らかくなるため機械加工に適しているそうです。これ以外に、金属の表面だけ硬くし、内部の軟らかさを残す表面硬化熱処理は、耐摩耗性に強く、トランスミッションギヤ部品に使用されているそうです。


田村工業ブログ4.JPG7基の加熱炉やチャージャーを操作するコントロール室を見学している様子)


田村工業ブログ5.JPG850℃に加熱された金属製品をチャージャーで搬送されているところ)


金属の熱処理加工を行った部品は、強度が3倍になり耐久性も優れることから、乗用車やトラック、鉄道、建設機械・産業機械関連部品に使用されています。そのため、田村工業と直接・間接的に取引している企業も、自動車メーカーや鉄道会社、トラック・農業・建設機器の関連会社が多いそうです。TOYOTANISSANをはじめ、トラックメーカーのHINOISUZU、建設機械のコマツ、農業機械のクボタ、JRグループなども得意先だそうです。また、最近では台湾と中国の鉄道のモーターギアを手掛けたそうです。


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(鉄道のレール止金として使用される継目板)


【付帯事業の数々】

田村工業は、同業他社との差別化を図るため、金属に関連する付帯事業にも力を入れています。その代表的な事業を紹介していただきました。

溶接を必要としない摩擦圧接加工は、主にトラックの変速機に使われている部品に用いられているそうです。田村工業では、異なる3つの部品を一度に接合する方法を採用し、加工時間の短縮を実現できたそうです。また、空洞化された部品を接合することで、材料の節約やトラックの軽量化に貢献でき、お客様にも好評を得ています。


田村工業ブログ7.JPG(摩擦圧接加工についてカットモデルを用いながら説明していただきました。)

 

金属の熱処理は、通常850度~1,100度の熱により加工されているそうです。加工の行程で金属が曲がったり、歪んだりすることもあります。それを適正に測定し、規格外の製品に対してはその特性を損なわずに矯正する高精度な加工も行っています。また、熱処理によって金属の表面に付着する酸化鉄を取り除き、表面を滑らかに仕上げるショットブラスト加工技術を持っています。その他、金属の塗装や人の目には見えない微細な傷を含めた検査、各種設備のメンテナンスなどのサービスも提供しています。


田村工業ブログ8.JPG(熱処理を行った金属と熱処理をしていない金属の引張強度比較試験の様子)


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(外見では判別できない熱処理を行った金属と熱処理していない金属) 


【人材育成への取り組み】

田村工業では、「品質は工程でつくりこまれる。自分の作業は自分で検査して自分で責任をもつ。」という品質保証基本方針をもとに、品質・安全管理も徹底しています。様々な性質を持っている金属をお客様の要望に合った製品に仕上げるためには、熟練の職人の技術が欠かせません。会社には、資格支援制度を設け、積極的に資格取得を推奨しています。「一級金属熱処理技能士」等の国家資格の保有者も多数在籍しているそうです。また、社員の技能を向上させるため、研修会や勉強会にも参加させています。経済産業省と東京工業大学、東部金属熱処理工業組合が共同で運営するマイスター育成の「中核人材育成事業」に毎年1名の社員を送っています。田村社長はマイスターの一期生だそうです。これによって、社員の責任感や仕事に対する意識が向上し、技能の面でも向上したそうです。 

田村工業では、国家資格である「金属熱処理技能士」の神奈川県の認定実技試験会場でもり、社員は主席検定員、検定員、補佐員として活躍し業界の発展にも寄与しています。々受験者が増えており今年は、60名が参加したそうです。



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(事務所に飾っている国家資格取得者の数々)

 

【取材後の感想】

取材後、工場で行われている熱処理加工の前後過程や金属の強度試験などを見学させていただきました。熱処理を行った部品は、優れた強度を持ち、耐摩耗性も強いことがわかりました。工業領域の発展を支えているこの技術が日本の誇りだと感じました。

また、田村社長は仕事に対し、専門的な知識を持ち、自ら技能資格を取得するなど、仕事への姿勢がとても勉強になりました。

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ISO事務局の河辺様、商科大学生記者、田村社長)


★田村工業株式会社

 http://www.tamura-kougyo.co.jp/index.html

 20153月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

 今回は、谷川油化興業株式会社に伺いました。取材を担当したのは、小林二三夫地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ大宮(商学科2年)です。

 

【会社の概要、沿革】

 谷川油化興業株式会社は、戦後間もない1949(昭和24)年、創業者の谷川六良が、駐留米軍に供給するためのブレーキオイルに着目し、東京・鮫洲に谷川油化研究所を発足したことが始まりです。その後、1957(昭和32)年に鶴見区に工場を新設し、1959(昭和34)年に谷川油化興業株式会社を設立。以来、オートケミカル用品のパイオニアとしてオリジナルブランドである「TCL」を主軸に、自動車関連の化成品を中心として開発・製造し、全国の整備工場やカーショップ等へ供給してきました。2014(平成26)年には自動車部品の専門商社であるSPK株式会社グループの傘下となったことで、ますますの事業拡大に務めています。

また、国内だけでなく、中近東や東南アジア・ロシア・中国などの海外シェアも拡大しており、特にロシアでは、近年クーラント(不凍液)の品質の高さによる人気が高まっているそうです。


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(左より、取材を受けて下さった中田社長、飯吉取締役、山田技術開発部長、杉岡工場長)

 

【主力ブランド】

主力ブランドである「TCL」とは、Tanikawa Chemical Laboratory の頭文字をとったもの。ブレーキフルード、クーラント、シャーシ塗装剤、クリーナー、整備用品等、幅広い製品ラインナップで顧客のニーズに応えています。なかでも、売り上げの3割を占めるブレーキフルードは、原料のグリコールやグリコールエテールの蒸留精製からブレーキフルードの一環生産を自社工場内で行っており、安全性の高い製品として顧客から信頼を得ています。多い時には一日に18L缶1000缶が出荷されることもあるそうです。


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(主力商品のTCLブレーキフルード)

 

中田社長は、経営ポリシーとして品質第一を掲げ、技術開発面でも自信を持って提供できる製品を作ることに尽力していると仰っていました。


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(取材を受けてくださった中田社長)

 

また、カスタマイズパーツ部門を持つSPK株式会社グループとなったことをきっかけに、レーシングカーに使用される「TCL ADVANCE」という新たなブランドが生まれました。これまでの実践的な性能重視のJIS規格に準拠したものづくりだけでなく、更なる高品質を目指し、サーキットやスポーツ走行などの過酷な環境下でも高パフォーマンスが可能になる製品の開発、製造を進めていくそうです。

この「TCL ADVANCE」スタートに際し、昨年、富士スピードウェイにおいて、特殊ルールを用いて燃費効率を競う、『86/BRZ Fuji Green Cup』というレースで谷川油化興業が冠スポンサーを務めました。約40チームが参戦した大規模なレースで、谷川油化興業の社名と共に、TCL ADVANCEの認知度の向上も目指しています。

また、金沢区に所有する工場では、溶剤を精製する蒸留事業を営み、各種産業が溶剤をリサイクルして使用することを推進し、資源循環型社会への取組みに貢献しています。

 

【工場や研究室を見学して】

 インタビューの後、併設する工場と倉庫も見学させていただきました。

 工場ではブレーキフルードの配合や充填作業を行っていました。OEMメーカーとして、同じブレーキフルードでも顧客の細かなオーダーに応じているそうです。

 また、顧客のなかには自衛隊も含まれているそうで、谷川油化興業の製品の安全性の高さを実感しました。

谷川油化興業ブログ5.JPG谷川油化興業ブログ6.JPG

(工場見学の様子)


  また、研究室内も案内していただきました。谷川油化興業はJIS認証取得工場であり、ISO9001の認証も取得されておりますので、厳格な品質管理が行われていました。 また、近年増加しているハイブリット車や電気自動車などの次世代自動車に対応した製品の研究を進めているそうです。


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(研究室内の様子)

 

【取材を終えて】 

時代と共に車の特徴は変わっていきます。また、一般車とレースカーで求められているものも異なります。今回色々なお話を伺うなかで、そのような様々な顧客のニーズに応えながら安定的な経営を維持していくことはとても大変なことだと改めて実感しました。

そして、谷川油化興業のような老舗企業が、世界にも通用する技術をもって活躍していることは、地元にとってとても価値のあることだと思います。このような素晴らしい企業が地元にもあるということを、もっと多くの人たちに知ってもらいたいと思いました。


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(取材を受けて下さった皆様と、商科大記者)


★谷川油化興業株式会社 http://www.tanikawayuka.co.jp/index.html

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