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鶴見区工業会取材④「株式会社塗装アサヒ」

2018年01月10日 07:30

 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。
 
 今回は、株式会社塗装アサヒに伺いました。取材を担当したのは、小林二三夫地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ大宮(商学科2年)です。

【会社の沿革、概要】

 株式会社塗装アサヒは、1955(昭和30)年に鶴見区下野谷にて有限会社旭塗興として創業した、塗装を主な業務としている会社です。当初は旭硝子が所有する施設のメンテナンス塗装が主な業務だったそうです。1989(平成元)年に先代から現在の代表取締役である菅野克義氏に受け継がれた際に、社名や株式会社への変更、事務所の移転などを行いました。

 現在では、横浜、川崎等の京浜工業地帯をメインとし、幅広く塗装業務を請け負っています。現在の従業員は、協力会社を含めて30名規模で、旭硝子、旭化成、日本ブチル、三菱ケミカル、太平洋製糖、プリンス電機、松尾工務店、官庁(横浜市)など、法人からの依頼がメインだそうです。

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(取材の様子)

【主な業務内容】

 鉄部に行う、防水やサビを防ぐ重防食を目的とした塗装が主な業務で、施工する例としては、タンクや歩道橋などがあります。受注した仕事の例として、2015(平成26)年に横浜市から塗装アサヒを含む2社で受注した大黒高架橋のお話を伺いました。500メートルにも及ぶ範囲で、足場や床版、床版の下あたりまで塗装を行い、完了するまでに6ヶ月ほどかかったそうです。

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(大黒高架橋塗装の様子)

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(塗装が完了した大黒高架橋)

【社内で大切にされていること】

 社長である菅野克義氏は、塗装業の発展に貢献したいという思いから、日本塗装工業会の副支部長・委員長、神奈川県塗装工業協同組合の常務理事、横浜市塗装事業協同組合の副理事長などの要職に就かれています。今回の取材では直接お話を伺うことはできませんでしたが、社長が大事にされている「責任施工」についてお聞きしました。責任施工とは、請け負った仕事に対して、塗装が終わるまでの責任ではなく、終わってからもアフターフォローをするなど、仕事の成果に対して責任を持つ事をいうそうです。例えば、その日の作業を終えて着替えて車に乗り込んでも、車から現場を見て何か違和感があれば、皆で戻って確認し、必要があれば修正作業を行うそうです。気づくことができ、さらに仕事の成果を追求できるのが職人だそうです。

 菅野社長では、これからは塗装業の技術向上と共に、建設業の業務割合を増やしていきたいというお考えだそうです。現在手掛けているのは小規模改修のみですが、改修できる規模を大きくするために、社内での経験や知識などを積み重ねていきたいとおっしゃっているそうです。

【高い技術力】

 塗装アサヒには現在協力会社を含めて約30名の従業員が所属しています。年齢層は40代が中心で、1番若い方だと21歳、1番上の方だと66歳の方がいらっしゃいます。基本的には現場で必要な事を先輩から教わって覚えていく方法をとっているそうですが、現場での技量を高める以外にも、塗装の知識や技術力の高さを測る国家資格を取得するよう促しているそうです。今年は1名の従業員の方が合格されました。

 また、今回取材させていただいた小林康雄専務は、神奈川県知事から毎年発表される、「神奈川県優秀技能者」の塗装部門で、2015(平成27)年に表彰されたそうです。塗装部門は4名のみの選出だったそうで、技術力の高さが伺えます。

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(お話を伺った小林専務)

 小林専務は、技術力を磨くことがコスト削減につながるとおっしゃっていました。技術力が高い3名で仕事にあたれば、皆で助け合い、4人分の仕事ができるからだそうです。高い品質を保ちながらもコストを抑えていくには、技術力を磨く以外にないそうです。

【塗装の技術とは?】

 今回の取材で、塗膜厚を調整するという塗装の技術をお聞きしました。これは知識だけでなく、長年の経験も必要となります。何故かというと、場所や材質・気温など、様々な要因によって、塗料の希釈の割合や、塗り方を変えなければならないからです。また、ローラーやハケ、吹付けなどといった、道具の違いによっても変わってくるので、知識や経験なしでは、塗膜厚が厚すぎず、薄すぎずの調整をする事はとても難しいそうです。

 特に京浜工業地帯では沿岸部での作業が多いので、錆防止の塗装をする際は塩分を飛ばすため水を使って飛ばす作業などがあります。最近では、錆をどうしても取り切るができない場合のための錆転換材という塗料が開発されているそうで、そういった技術も取り入れているそうです。

【徹底した安全管理】

 塗装業はシンナーなど危険性があるものも使用されるため、安全・健康管理は徹底されています。一般的な熱中症対策のための休憩時間確保はもちろん、シンナー対策として頻繁な防毒マスクの取り替えや、換気の徹底などをされているそうです。

 小林専務は、現場で「臆病になれ」とよく言っているそうです。「慣れ」が一番怖いことで、慣れて大丈夫だろうと思うと注意しなくなってしまうそうです。仕事を始めたばかりの頃よりも、仕事を始めてから3か月くらい経った頃と、ベテランの方がむしろけがをしやすいそうです。どこに危険が潜んでいるかわからないから、「怖い怖い」と思いながら作業をしてほしいとよく現場で話をされるとのことでした。

【鶴見区とのつながりについて】

 鶴見区とのつながりについてお聞きしたところ、川崎分室の阿部博樹室長が、鶴見区の消防団に所属しておられるとのことでした。消防団では、昼間は普通に働かれている方が多いので、夜に小学校や中学校の体育館を借りて訓練を行っているそうです。火事や地震などの災害があった場合には、1番早く駆けつけられるのは地元の住人で、消防隊員が駆けつける前に被害を抑えておくことができるので、こうした取り組みがあることも、もっと広まってほしいとおっしゃっていました。

【取材を通して】

 今回の取材を通して感じたことは、現場の重要性です。知識と経験の積み重ねが技術という結果に結びつくわけですが、それは机上だけで成し得ることではなく、多くは現場で身に付くものだということを感じました。今回の取材では、現場での作業を実際に行っていらっしゃる方々にお話を伺うことができたので、技術の高さや、仕事への情熱をより感じることができました。また、1つ1つの現場での積み重ねが大切だということもよくわかりました。
普段一般の消費者が目にするのは珍しい分野の取材でしたが、こうした現場の方々の働きが社会を担っているという事を、忘れないでいたいです。

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(左 小林専務、真中 学生記者・大宮、右 阿部室長)

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