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鶴見区工業会取材③「株式会社乙部鉄工所」

2018年01月10日 07:23

 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を本学の学生記者が担当しています。

 今回は、株式会社乙部鉄工所に伺いました。取材を担当したのは、高羽地域産業研究所研究員、学生記者笠間(商学科2年)です。

【株式会社乙部鉄工所の沿革について】

 株式会社乙部鉄工所は、1957(昭和32)年に化学・建設・鉱山用機械器具の製作据付工事を主な業務内容として創業。現在は、独自の溶接技術を駆使し、高圧ガス化プラントの設計施工、高圧ガスの圧力容器などの特殊機器の製作、改修なども手掛けています。
 
 過去には、愛知万博での石炭ガス化プラントの製作、施工、据え付けなどを手掛けたこともあるそうです。また、国の政策の一環である、石炭をガス化設備のモデル材の製作等の実証実験にも協力し、現在は使用された部品の修理や改造を行っています。

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 (取材の様子)

【マンロック製品について】

 圧力容器は、大気圧と異なる圧力の気体や液体を貯蔵するために設計された容器です。最近は、トンネル工事で堀削を行うシールドマシンの中に、作業員が出入りする為のマンロックという気密性の高い密封容器の受注を多く手掛けています。首都高横羽線と第三京浜を結ぶ横浜北線の工事にも使用されたそうです。容器の耐久性を保つための技術の高い溶接を行っているそうです。各重工メーカーからの受注を受けています。
 
 先代の時には、深海に挑むことができる潜水艇に使用されている部品のテスト用に、1000キロの水圧がかけられる容器を作った実績があるそうです。鶴見区鶴見中央2丁目にある株式会社鶴見精機の試験装置も手掛けており、地元企業との連携にも積極的に取り組んでいます。

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(製品について説明していただく様子)

【EMC電波暗室、電磁波シールドルーム製造】

 乙部鉄工所では、EMC電磁波暗室、電磁波シールドルームの新規製造・設置も行っています。従来の組み立て式と比べ価格・納期・品質において競争力のある新施工システムを開発し、特許も取得しています。

 EMC電波暗室は、電子機器から放射されている電磁妨害波の電界強度の測定、試験などを効率的に行う施設です。また、電磁環境を電磁気的に隔離するために設計された部屋がシールドルームといい、電磁妨害波の測定室・病院の電子機材を設備した医療室・機密に係わるコンピュータールームなどに使用されています。

 近年、日常生活でパソコンをはじめとする電子機器が多く使用されるようになり、それに伴い電磁波による人体へ与える影響や受信障害、誤動作などが大きな社会問題になっています。「外部に電磁妨害波を出さない」と「外部から電磁妨害による影響を受けない」を両立させるのがEMC対策で、様々な機器の製品設計や開発段階から強く求められています。

 乙部鉄工所が製造する、耐久性が高く、シールド遮断性能が高い製品は、従来の組立技量の偏差によって生じる各パネルの継ぎ合せ部の性能偏差などがなくなり、継ぎ合せ部の修理の時間や費用、チェック回数などを節約することができます。過去には、矢崎総業株式会社をはじめ、松下通信工業株式会社、音響メーカーのティアック株式会社に納入工事した実績があります。

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(EMC電波暗室)

【その他事業】

 乙部鉄工所では、鋼板製溶接容器や圧力容器、特殊容器用などに使用する鋼板の板曲げも行っています。厚さ22㎜、幅3,000㎜の鋼板等を円筒形やU字型、円錐型などのさまざまな形に加工できる機械を用いて、大型で高品質な製品を作り上げています。また、曲げ加工前の開先加工、曲げ加工後の溶接仕上げまで一貫して行うことも可能だそうです。

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(加工前の鋼板)

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(加工後の鋼板)

【社長が大切にされていること】

 乙部社長は、社員同士の現場でのコミュニケーションとチャレンジ精神を求めています。受注した製品に対し、どのようにつくりあげていくのかなどを現場で相談しながら進めているそうです。また、製造過程で問題点が発生した場合は、受注先の担当者と一緒になって改善策を考え、斬新なアイデアを提案し、それによって新しい発見もあり、新規受注につながることもあるそうです。

 乙部鉄工所の取り扱う製品には、溶接技術や施工に対する知識が欠かせません。高圧ガス保安法や電気・ガス事業法によっては、溶接資格の種類が異なり、乙部鉄工所はそれぞれ基準を満たした溶接士が多数在籍しています。乙部社長は「お客様からいただく様々なニーズに応えるため、社内では熟練者から若手社員への技術継承にも力を入れている。また、受注のこだわりとして、コストありきのオーダーはお断りする。」とおっしゃっていました。また、高品質を保つよう心掛けています。

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(取材にご協力していただいた乙部社長)

【取材を終えた感想】 

 今回の取材を通し、乙部鉄工所は溶接技術を生かし、私たちの生活を便利にするインフラ工事現場などで活躍する製品を提供している素晴らしい企業だと感じました。
 また、乙部社長は横浜商科大学の卒業生であることがわかり、より親しみを覚えました。先輩が第一線で活躍している姿がとても輝いて見えました。

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(乙部社長と商科大笠間記者)

★株式会社乙部鉄工所
http://www.otobe-tekko.com/index.html

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