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鶴見区工業会取材①「株式会社坂本茂商店」

2018年01月10日 06:10

 2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

 今回は、株式会社坂本茂商店に伺いました。取材を担当したのは、小林二三夫地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ大宮(商学科2年)です。

【会社の概要、沿革】

 株式会社坂本茂商店は、1958(昭和33)年に先代の坂本茂氏が現在も本社を置く鶴見区駒岡にて個人で建築資材販売店を開いたことに始まります。現在は、1972(昭和47)年に設立した獅子ヶ谷工場でハウスメーカーを主要顧客とした生コンクリート(以下生コン)の製造・販売を中心に手掛けておられます。
 
★CIMG1690.JPG(取材の様子)

【生コン製造と配送について】

 生コンは鮮度が命の製品。時間が経つとコンクリートが硬化し強度が落ちてしまうため、JIS規格では工場での積み込みから荷おろし現場到着までが90分以内と定められています。そのため坂本茂商店で製造される生コンは、工場から半径10km圏内で運送時間が片道40分以内の横浜市北部から川崎市南部エリアに集中しています。

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(ミキサー車への積み込み作業の様子)

 90分を超えた規格外の生コンは廃棄処分となります。また、納品が遅れると顧客の工期に影響を及ぼすこともあります。高品質な製品を迅速に納入するため、坂本茂商店では最新鋭の品質管理システムを導入、また早くから全ミキサー車にGPS付無線を搭載し道路の渋滞状況や現場付近での待機場所の有無等を加味した効率的な配送システムの構築に力を入れてきました。

 坂本茂商店では3t・4t・8tと大きさの異なる3種類のミキサー車を所有しています。近年は駅前や住宅密集地など車体の大きな8t車が入ることのできない狭い現場が増えたため小回りの利く3t・4t車の需要が伸びているそうです。ミキサー部分が電動となった低騒音の新型車両を順次取り入れることで環境への配慮にも努めています。

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(坂本茂商店が保有するミキサー車)

【経営方針】

 坂本社長は、2002(平成14)年に父親である先代から跡を継ぎ二代目社長に就任しました。先代は経営に関して言葉で語ることは少なく「うしろ姿をみて覚えろ」という職人気質の方だったそうです。そんな先代がうしろ姿で伝えた、まず頭を下げて挨拶し顧客に顔を覚えてもらえ、そしてそこから生まれる人とのつながりこそが会社にとってなによりの財産だ、という教えを坂本社長は今も大事にしておられます。リーマンショックの影響などで経営が大変な時期もあったようですが、近年は業績が回復し売り上げも伸びつつあるそうです。

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(取材を受けていただいた坂本一幸社長)

 坂本社長は、単に売上を伸ばすことよりも、景気に左右されず安定した売上を維持していくことを大事にされているそうです。そこには、高品質の製品を販売し続けていく覚悟と、共に働く従業員に長く安心して働いてもらいたいという願いがあるということです。

 また、約30社が加盟する神奈川県小型生コンクリート協同組合の理事長を努め、同業の組合員を統括する役割も担っておられます。生コン価格の変更や材料の共同購買など、組合員が団結することで互いに安定した工場経営が実現できると尽力されておられます。

【工場見学を通して】

 坂本社長へのインタビュー後、工場見学をさせていただきました。
 
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★CIMG1752.JPG
(試験室の様子)

 試験室では、現場に配送した生コンと同材料で作った供試体を水に浸けて養生しているものや、圧縮して強度を調べる装置を見ることができました。また、生コン製造プラント内に設けられた操作室では、運びこまれた材料を練り混ぜミキサー車に積み込む工程を見学させていただきました。生コンは施工者や現場、打設箇所によって配合が異なるため、材料の配分をコンピューターで調整・管理しながら出荷しているそうです。これはとても細やかな作業だという印象を受けました。

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(操作室の様子)

 機械やミキサー車による大がかりな作業がある一方、原材料である水・セメント・骨材・混和剤の量を配合によって微妙に調整して出荷する繊細な作業もあり、知識や熟練した技術の重要性を実感しました。

【取材を通しての感想】

 自分が過ごしている場所や生活の一部である建物・道路をつくる過程で、作業する方々の繊細な計算や、納品のための時間との勝負があることを知り、とても驚きました。
年々規制が厳しくなっていたり、原材料費が高くなっているという課題もあるそうですが、坂本茂商店のような企業が様々な対策をして、私たちの安心・安全な生活を支えてくださっているということを改めて知ることができました。もっとこういった地域のメーカーの仕事や、働き方などを多くの方に知ってもらいたいと感じました。

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(取材を受けていただいた坂本社長と学生記者大宮)

★株式会社坂本茂商店
http://www.sakamotoshigeru.co.jp/

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