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鶴見区工業会取材④「田村工業株式会社」

2017年11月06日 11:00

20153月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、その後、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

今回は、鶴見区元宮に本社を置く、田村工業株式会社に伺いました。取材を担当したのは、小林地域産業研究所所長、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ唐(貿易・観光学科4年)です。


【会社の概要、沿革】

田村工業株式会社は、金属の熱処理加工及び、加工後の酸化スケールを取り除き表面仕上げを行うショットブラスト加工の専門工場として1959(昭和34)年に創業。その後、金属製品の曲り矯正加工、塗装加工の設備を新設し、都市ガスの導入、オートチャージシステム、水溶性焼入れ等、新しいシステムが集約した熱処理工場を完成させました。また、各種設備の設計、製作、施工、保全事業強化のため、積極的に同業会社を吸収した結果、現在は神奈川、東京、福島など、全国に11の工場を保有し、稼働しています。

田村社長は、「古い歴史を持つ金属熱処理業界の中では、田村工業は後発部隊という位置づけですが、今は金属熱処理のリーディングカンパニーとして、溶接を必要としない摩擦圧接や、金属表面に強度を付与する表面熱処理など、顧客ニーズに応える技術を提供しています。」とおっしゃいました。


田村工業ブログ1_取材の様子.JPG

(取材の様子)


【主力事業・・・金属熱処理加工】

田村社長は、金属熱処理加工業界の位置づけと役割について図表を用いながら説明してくださいました。金属熱処理加工を支える産業は、主に鉄鋼を専門に作るメーカーを中心とする川上産業、熱処理をメインにする川中産業、部品を組み立て、完成させるメーカーの川下産業で構成されているそうです。田村工業は川中産業として、鍛造・鋳造・焼結・プレス・切削など加工された鉄鋼部品(素形材)に対し、金属の特性を生かす目的として熱処理加工を行っています。


田村工業ブログ2_産業構造.png

金属熱処理加工は特殊工程のため、依頼先企業から認定書を発行されないと、加工処理ができないそうです。事務所には、企業から発行された認定書が多数掛かっていました。ISO9001の認証を取得するなど、常に高品質を心がけお客様に満足していただけるように努力されているそうです。



田村工業ブログ3.JPG

(事務所内に飾られた認定書や感謝状を拝見しました。)


熱処理加工は様々な手法があり、加工手法によって金属の性質が変化するそうです。例えば、熱処理前の粗い組織の金属は、一度加熱し急冷処置する焼入れ加工をすると、鋼の硬さを増大させることができますが、外部からの衝撃に弱い性質を持つ弱点があるそうです。それをもう一度適切な温度に加熱・温度保持する焼戻し加工を行うと、粘り強さが向上します。また、一定温度で加熱後、空気中で十分に冷却する焼ならし加工は、組織の不均一を除去し、軟らかくなるため機械加工に適しているそうです。これ以外に、金属の表面だけ硬くし、内部の軟らかさを残す表面硬化熱処理は、耐摩耗性に強く、トランスミッションギヤ部品に使用されているそうです。


田村工業ブログ4.JPG7基の加熱炉やチャージャーを操作するコントロール室を見学している様子)


田村工業ブログ5.JPG850℃に加熱された金属製品をチャージャーで搬送されているところ)


金属の熱処理加工を行った部品は、強度が3倍になり耐久性も優れることから、乗用車やトラック、鉄道、建設機械・産業機械関連部品に使用されています。そのため、田村工業と直接・間接的に取引している企業も、自動車メーカーや鉄道会社、トラック・農業・建設機器の関連会社が多いそうです。TOYOTANISSANをはじめ、トラックメーカーのHINOISUZU、建設機械のコマツ、農業機械のクボタ、JRグループなども得意先だそうです。また、最近では台湾と中国の鉄道のモーターギアを手掛けたそうです。


田村工業ブログ6.JPG

(鉄道のレール止金として使用される継目板)


【付帯事業の数々】

田村工業は、同業他社との差別化を図るため、金属に関連する付帯事業にも力を入れています。その代表的な事業を紹介していただきました。

溶接を必要としない摩擦圧接加工は、主にトラックの変速機に使われている部品に用いられているそうです。田村工業では、異なる3つの部品を一度に接合する方法を採用し、加工時間の短縮を実現できたそうです。また、空洞化された部品を接合することで、材料の節約やトラックの軽量化に貢献でき、お客様にも好評を得ています。


田村工業ブログ7.JPG(摩擦圧接加工についてカットモデルを用いながら説明していただきました。)

 

金属の熱処理は、通常850度~1,100度の熱により加工されているそうです。加工の行程で金属が曲がったり、歪んだりすることもあります。それを適正に測定し、規格外の製品に対してはその特性を損なわずに矯正する高精度な加工も行っています。また、熱処理によって金属の表面に付着する酸化鉄を取り除き、表面を滑らかに仕上げるショットブラスト加工技術を持っています。その他、金属の塗装や人の目には見えない微細な傷を含めた検査、各種設備のメンテナンスなどのサービスも提供しています。


田村工業ブログ8.JPG(熱処理を行った金属と熱処理をしていない金属の引張強度比較試験の様子)


田村工業ブログ9.JPG

(外見では判別できない熱処理を行った金属と熱処理していない金属) 


【人材育成への取り組み】

田村工業では、「品質は工程でつくりこまれる。自分の作業は自分で検査して自分で責任をもつ。」という品質保証基本方針をもとに、品質・安全管理も徹底しています。様々な性質を持っている金属をお客様の要望に合った製品に仕上げるためには、熟練の職人の技術が欠かせません。会社には、資格支援制度を設け、積極的に資格取得を推奨しています。「一級金属熱処理技能士」等の国家資格の保有者も多数在籍しているそうです。また、社員の技能を向上させるため、研修会や勉強会にも参加させています。経済産業省と東京工業大学、東部金属熱処理工業組合が共同で運営するマイスター育成の「中核人材育成事業」に毎年1名の社員を送っています。田村社長はマイスターの一期生だそうです。これによって、社員の責任感や仕事に対する意識が向上し、技能の面でも向上したそうです。 

田村工業では、国家資格である「金属熱処理技能士」の神奈川県の認定実技試験会場でもり、社員は主席検定員、検定員、補佐員として活躍し業界の発展にも寄与しています。々受験者が増えており今年は、60名が参加したそうです。



田村工業ブログ10_国家資格.png

(事務所に飾っている国家資格取得者の数々)

 

【取材後の感想】

取材後、工場で行われている熱処理加工の前後過程や金属の強度試験などを見学させていただきました。熱処理を行った部品は、優れた強度を持ち、耐摩耗性も強いことがわかりました。工業領域の発展を支えているこの技術が日本の誇りだと感じました。

また、田村社長は仕事に対し、専門的な知識を持ち、自ら技能資格を取得するなど、仕事への姿勢がとても勉強になりました。

田村工業ブログ11.JPG

ISO事務局の河辺様、商科大学生記者、田村社長)


★田村工業株式会社

 http://www.tamura-kougyo.co.jp/index.html

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