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TSURUCHARM取材記事(4)「生麦魚河岸通り」

2017年09月27日 14:18

2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、様々な事業で協力していくことになりましたが、その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大が担当することになりました。

今年、鶴見区が区制90周年を迎えるにあたり、これまで商科大学で担当してきた22社と、鶴見区らしい企業、事業所等41箇所の取材記事を新たに加えてまとめ、『TSURUCHARM~私が見た鶴見★しごと~』として冊子を発行することとなりました。

本ブログでは、冊子のなかで紹介できなかった内容について広くご紹介致します!
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今回は、鶴見区の旧東海道にある魚河岸通り生麦魚介商組合に伺いました。取材を担当するのは、高羽地域産業研究所研究員、学生記者長田(経営情報学科3年)と池田(経営情報学科1年)です。

【生麦魚河岸通りは、どんなところ?】
生麦魚河岸通りは、JR鶴見線国道駅から旧東海道を西に向かった鶴見5丁目にあります。東西400メートルほどの通りに面した20数店のほとんどが生鮮魚介類を取り扱っており、魚河岸横丁の風情を醸し出しています。戦後の開業から70余年の間に培った経験と目利きの確かさで、鮮度・味の良いもの、旬のものを「自分で仕入れて自分で売る」ことに拘りっており、寿司、割烹、居酒屋など品質に厳しい顧客が主な販売先です。魚種が豊富な築地と地場ものが多い横浜市場の特徴を活かし、毎朝直接仕入れを行っています。

★魚河岸ブログ_1.JPG(魚河岸通り生麦商店街の看板)

★魚河岸ブログ_2.JPG
(取材の様子)

【生麦漁業における時代背景】
生麦魚河岸通り商店街が立地している生麦は、江戸時代に生麦浦と呼ばれ、「卸菜八ヶ浦」の一つとして、江戸城の将軍が食べる魚(卸(お)菜(さい))を1ヶ月に3度ずつ献上していました。また、御用船の曳き船(引網をつけて他の船や筏(いかだ)などを曳航する船)などの役割を果たしていました。これにより、江戸湾内で自由に漁業をする特権が得られ、東京湾の中でも屈指の漁業の町として栄えたそうです。

生麦沿岸での漁獲量が減少してきたため、明治中期ごろには江戸前のノリと貝の養殖が中心となりました。明治末期頃に入り、日本の工業化の進展に伴い、海岸が埋め立てられ京浜工業地帯が造られたことで生麦漁業は完全に消滅したそうです。戦後になって、鮮度の良い魚を地元で購入したいとのニーズに応え、築地や横浜市場から買い付けた魚介類を商う店舗が徐々に増えて現在の姿になったそうです。

★魚河岸ブログ_3.JPG
(朝から買い付けにくるお客さんで賑わっている様子)  
       
【どのようなお店がある?】
全長約400mある生麦魚河岸通りには、魚介全般を取り扱う店のほか、マグロ専門店をはじめ、あなご専門店、貝専門店、フグ取扱店などの専門店も多く並んでいます。

★魚河岸ブログ_4.JPG
★魚河岸ブログ_5.JPG
(マグロ専門店「鈴木」の店頭の様子)

早朝は、寿司屋さんや料理屋さんのようなプロが活きの良い魚を買い付けにきて賑わっていますが、9時以降は一般客向けに「魚一匹、貝一個」から販売しています。魚の多くは、生きたまま店に並べ、その場でおろして売っています。

★魚河岸ブログ_6.JPG
(お客さんの求めに応じその場で調理)

★魚河岸ブログ_7.JPG
(「生豊」の店主安斉さんが魚をさばく様子)

また、買い物客や観光客向けの飲食店や、寿司屋さんで使う雑貨などを販売する店も何軒かあります。
今回、取材をさせていただいた「丸菊」2代目で、生麦魚介商組合の理事長も務める昼間和久氏は、マグロ以外の魚介類を取り扱っています。お客様の8割以上は常連客で、遠方まで配達するそうです。プロだけでなく一般の方々に対しても販売しています。

取材を通して驚いたのは、40年以上に渡ってお付き合いしている常連さんがいることです。それは、常に品質の良い品物を提供していることによる信頼関係の賜物であると感じました。

★魚河岸ブログ_8.JPG
(店頭に並ぶイカや貝などの魚介類の数々)

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(朝網で捕りたてのアナゴやイカ、牡蠣など)

★魚河岸ブログ_10.JPG
(人気の赤貝、青柳、珍しい貝もたくさん)

【長年続けられた秘訣とは?】
取材させていただいた昼間理事長は、「魚の仕入れから販売まで、すべて自分自身が責任を持って行っているから、売り切った時の達成感や、お客様から感謝された時にやり甲斐を感じ、30年以上に渡って続けてこられた」とおっしゃいました。

商店街のほとんどは、朝早く市場に行き、自分自身の目で新鮮な魚を見極めて仕入れ、販売しているそうです。お客様からは、「珍しい魚が売っている」、「いつも新鮮な魚を手頃な値段を購入できる」と、大変好評です。横浜の市場からだけでなく、東京・築地の市場の魚介も仕入れて、今後も「いいとこ取りの市場」として続けていきたいとおっしゃっていました。

★魚河岸ブログ_11.JPG
(取材を受けてくださった「丸菊」2代目、生麦魚介商組合の理事長昼間氏)

【季節の行事と地域交流】
毎年7月末には「魚供養」と呼ばれる行事が行われます。これは魚に対して感謝と供養をする行事で近くの小学校と協力して、感謝の気持ちを込めて鶴見川に稚魚の放流などを行っています。

また、11月には「魚河岸祭り」が行われています。生麦魚河岸通りの各店自慢の名物を販売し、特に「穴子の天ぷら」と「アサリ飯」は行列ができるほどの人気だそうです。2014年に生麦第一地区連合会が運営を引き継ぎ「生麦旧東海道祭り」と名称は変わりこそしましたが、大人から子どもまで楽しむことのできるイベントとして親しまれています。

★魚河岸ブログ_12.JPG
(生麦魚介商組合の会計を担当している「生豊」の店主安斉氏)

この他にも6月に行われる横浜市無形民俗文化財に認定された「蛇も蚊も祭り」や年末の大売り出しなど、地元のイベントや活動に積極的に参加し、様々な人と触れ合うことで生麦魚河岸通りの認知度を上げ、地元の活性化に努めています。

★魚河岸ブログ_13.JPG
(接客している「丸菊」2代目昼間社長)

【取材を通して】
<学生記者長田のコメント>
取材の中、生麦魚河岸通りの話だけでなく、魚についてのことも沢山教えていただきました。豊富な知識量と、魚に対する熱意、そして楽しそうに話す姿はとても印象的でした。「生麦魚河岸通りのため、自分たちのために、今後10年、20年と出来る限り続けていきたい」という言葉は、とても魅力に感じました。

 ITの進化により、商品の購買はインターネットで手軽にできるようになりました。直接交流を交わし、売り買いをすることができる温かみのある場所は、日に日に数が少なくなっています。そんな時代であるからこそ、生麦魚河岸通りは取引先の方々だけでなく地元の人にとっても、貴重で大切な場所であり、大きな価値があるのではないでしょうか。

<学生記者池田のコメント> 
今回の取材を通して普段では知ることのできない多くのことを知ることが出来ました。
時代が進み、インターネットを通して商品やサービスを購入することができるようになり、お店に直接行かなくても買い物ができるようになりました。それでも魚河岸通りに人が集まってくるのは、お祭りなどを開催して地域の交流を大事にしたり、プロだけではなく一般の方も買い物しやすいように工夫したりするなど、様々な努力をされているからだと思いました。

★魚河岸ブログ_14.JPG
(学生記者長田、昼間理事長、学生記者池田)

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