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TSURUCHARM取材記事(2)「東洋化成株式会社」

2017年09月25日 13:34

2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、様々な事業で協力していくことになりましたが、その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大が担当することになりました。

今年、鶴見区が区制90周年を迎えるにあたり、これまで商科大学で担当してきた22社と、鶴見区らしい企業、事業所等41箇所の取材記事を新たに加えてまとめ、『TSURUCHARM~私が見た鶴見★しごと~』として冊子を発行することとなりました。

本ブログでは、冊子のなかで紹介できなかった内容について広くご紹介致します!
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今回は、鶴見区末広町にある東洋化成株式会社に伺いました。取材を担当するのは、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ菅野(商学科3年)です。

【東洋化成株式会社の沿革について】

1959(昭和34)年に創業し、今年59年目を迎える東洋化成株式会社は、併設する工場で、カッティング(録音)やプレス(原盤製作)をはじめ国内唯一の製造を行うレコード事業と、レコード、CD、DVD等のパッケージ印刷を主軸とする印刷事業を行う、音楽・印刷の総合会社です。今回の取材では、国内唯一のアナログレコード製造を行う鶴見区末広工場を訪ね、主にレコード事業についてお話を伺いました。

★東洋化成ブログ_1.JPG
(取材時、サンプル品をたくさん見せていただきました)

★東洋化成ブログ_2.JPG
(お話を伺ったディスク事業部長代理石丸様)

東洋化成は、SPレコード材料工場・印刷工場としてスタートし、1961年に塩化ビニールレコード材料工場及びレコードプレス工場、1966年にレコード原盤工場の操業を開始しました。その後、横浜市鶴見区と綱島区に工場をつくりましたが、2002年に、二つの工場の機能を集約し、現在の末広工場での事業を開始しました。
 
★東洋化成ブログ_3.JPG(取材の様子)

【レコード事業について】

鶴見区末広工場では、原盤製作からプレス、ジャケット作製等、レコード製造の受注から出荷までを行っています。

1975年発売の『およげ!たいやきくん』のレコードは綱島工場で製造されました。社会現象にもなったこのレコードは約450万枚製造され、当時、社員の皆さんは休日返上で作業を行ったそうです。その後、CDが普及し、レコード出荷数が減少した時期が長く続いたこともあったそうですが、数年に一度ブームが訪れるそうで、現在も人気が再燃し、老舗レコード製造会社として、大手映像・音楽ソフトメーカーや音楽事務所からの受注が増えているそうです。

また近年、複数の大手メーカーから高品質なレコードプレーヤーが発売され、レコード最盛期を知る団塊世代等によって、アナログレコードが見直されていることなども、出荷数の増加に繋がっています。2011年に年間平均20万枚だった出荷数が、昨年2016年には79万枚を超え、2017年も、取材を行った4月時点で既に月平均8万枚を超えるペースだということでした。東洋化成でも昨年より、メーカーと共同で、レコードの魅力を発信していく「レコード再発見プロジェクト」を実施しています。

新譜の発売時にレコード盤を同時作製するアイドルや若手アーティストも増えており、若いファン層にもレコードの人気が広まっているそうです。末広工場で製造した、桑田圭祐さんやスピッツさん、YUKIさんなどの人気アーティストのレコードもたくさん見せていただき、非常に興味深かったです。
 
★東洋化成ブログ_4.JPG(東洋化成株式会社で製造したレコードの数々)

★東洋化成ブログ_6.JPG
(『およげ!たいやきくん』新記録樹立記念トロフィー)

【経営ポリシー】

近年再注目されているとは言え、CDの普及や音楽のデジタル化が進み、レコード製造の利益は全盛期より減少しており、周囲からは「撤退した方がいいんじゃないか」という声が上がったこともあったそうです。しかし、創業者の「我々はこれまでレコード製造で食べさせてもらってきた。一人でも、レコードを作って欲しいというアーティストからのニーズがある限り、レコード事業を継続していく」という強い意志があり、これまで続けてきたそうです。

そういった、創業者や社員の方々のレコードにかける熱意や情熱が、現在の、国内で唯一残るレコード製造会社としての、東洋化成株式会社の確固たる地位を築くことに繋がったのだと感じました。

【工場内の様子】
インタビュー後、レコードの製作現場を見学させていただきました。

①カッティングルーム

カッティングルームという、音楽メーカーから届けられたマスター音源を、ラッカー盤というディスクに溝として刻み込み、録音するための部屋では、実際に録音の作業を拝見しました。CDやダウンロード版と比べ音に深みがあることがよくわかり、とても感動しました。取り扱う音楽のジャンルは、J-POPから演歌、交響曲まで幅広く、その音源によって、溝の深さや幅が異なってくる大変繊細な作業だということです。

驚いたのは、このカッティング作業ができるエンジニアの方は、現在、同社内で数人しかいないということです。技術はもちろんですが、手先の感覚や長年のノウハウといった部分によるところが大きいそうで、そういったベテランスタッフの存在は、会社にとって非常に貴重であるとおっしゃっていました。マンツーマンでの指導による若手技術者の育成にも力を入れているそうです。

★東洋化成ブログ_7.JPG
(カッティングマシン①)
 
★東洋化成ブログ_8.JPG
(カッティングマシン②:顕微鏡で溝を確認します)

②プレスルーム

レコード1枚につき、必要なプレス時間は約30秒だそうです。機械について説明していただいている間にも、次々とレコードが出来上がっていく様子を見る事ができ、そのスピードの速さが印象的でした。しかし、主に受注を受けるエンターテイメント業界の仕事は、スケジュールが非常にタイトなことが多いそうで、1日中機械をフル稼働することもあるということでした。
 
★東洋化成ブログ_9.JPG
(見学時の様子)
 
★東洋化成ブログ_10.JPG
(取材に応じていただいた、石丸様、管理部長中島様と学生記者)

【取材を終えて】

これまでレコードと言えば、テレビや映画等でしか見ることがなかったものでしたが、管理部部長の中島氏やディスク事業部部長代理の石丸氏が、親切かつ丁寧なお話をしてくださったため、とても身近に感じることができました。現場の見学の際、社員の方々が皆熱心にお仕事をされていた姿が印象に深く残っています。

またレコードは、100年後も再生可能なメディアであるという石丸氏の言葉から、社員皆さんの仕事にかける誇りを感じ、感銘を受けました。
 
★東洋化成ブログ_11.JPG(社屋の前で)

★東洋化成株式会社
http://www.toyokasei.co.jp/


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