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鶴見区工業会取材②「横浜ガルバー株式会社」

2017年08月03日 13:26

2015年3月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、様々な事業で協力しています。その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大の学生記者が担当しています。

今回は、鶴見区上末吉にある横浜ガルバー株式会社に伺いました。取材を担当するのは、高羽地域産業研究所研究員、学生スタッフ長田(経営情報学科3年)です。

【横浜ガルバー株式会社の沿革について】

横浜ガルバー株式会社は、1951(昭和26)年に大阪亜鉛鍍金株式会社鶴見工場として創業しました。1972(昭和47)年に横浜ガルバー株式会社として独立し、その後国内溶融亜鉛めっき業のパイオニアである田中亜鉛鍍金株式会社と業務提携を行いました。現在では溶融亜鉛めっきの生産量が業界の東日本エリアでトップシェアの企業です。鶴見工場の他に、栃木県下野市に大型の構造物にも対応できる大きな釜を備えた小山工場を構えています。また、秋田県秋田市に田中亜鉛鍍金株式会社との共同出資により秋田ガルバー株式会社を設立しています。
 
CIMG8701.JPG(お話を伺った、鶴見工場の工場長・遠田様)

【溶融亜鉛めっきとは?】

めっきの歴史は大変古く、昔から鉄を錆から守るために施されてきました。あの奈良の大仏にもめっき工法が用いられています。横浜ガルバー株式会社が扱う溶融亜鉛めっきは、1742年にフランスで開発され、ヨーロッパで盛んになりました。日本では明治に入ってからまずは官営の造船所で使用され、その後、横浜ガルバー株式会社の親会社である田中亜鉛鍍金株式会社(1908(明治41)年、田中吾一郎氏創業)が民営として初めて溶融亜鉛めっき業を開始しました。

溶融亜鉛めっきの長所は耐久性で、一度施せば、定期的な補修が必要となる塗装と異なり、環境によっては100年以上メンテナンスをしなくてもよいそうです。経済性に大変優れていると言えます。また、錆びて腐食していくと安全性に問題が出てしまいますが、溶融亜鉛めっきで守られたものは長い間その心配がありません。普段は意識しないものですが、まさに私たちの安全な生活を守ってくれています。
 
CIMG8699.JPG(取材の様子。お話を伺った遠田工場長と伊藤課長)

【溶融亜鉛めっきが活用されているもの】

溶融亜鉛めっきというのは、一般ではあまり意識されていないものです。どういったところで使用されているのか具体的にお聞きしてみました。送電線の鉄塔や、電車の架線の部材、ガードレール、立体駐車上の部材、建築の免震装置等、様々な分野で用いられているそうです。

ガルバー架線金物.png
(東海道新幹線に使用されている架線金物)

駐車場 (2).jpg(溶融亜鉛めっきが施された立体駐車場)    

身近なところでは、みなとみらいにあるNTTドコモ横浜メディアタワーの鉄塔部分には、溶融亜鉛めっきが施されているそうです。

NTTみなとみらい (1).jpg
(NTTドコモ横浜メディアタワー)     

神戸スカイブリッジ.jpg
(神戸スカイブリッジ)

【周囲、環境への配慮】

亜鉛という物質は人体には必要であり有害なものではありませんが、周囲や環境への配慮には細心の注意を払っているそうです。鶴見に工場を建てた際は周囲に何もなかったそうですが、今では商店街や住宅地に囲まれています。このため、高度な排水処理施設を導入しているそうです。後から建設した小山工場でも排水処理には高度な設備を採用しています。

排水処理設備.jpg
(小山工場 排水処理設備)          

小山工場.png
(小山工場 集塵機設備)

また、環境に配慮しためっきの開発(「エコZ」)をグループ会社で行っており、鶴見工場はそれに対応した生産ラインを持っています。環境対応を求める企業からは、「エコZ」指定の注文も多いそうです。リサイクルにも取り組んでおり、溶融亜鉛めっきに使用した亜鉛を再利用するために、「YGエコピュア」という設備を開発し導入しています。この設備は、一度使用した亜鉛から不純物を分離させ、再利用するためのものです。この設備を通してきれいになった亜鉛は、再び工場内に戻され、溶融亜鉛めっきに利用されています。

【工場見学】

お話を伺ったあと、実際に溶融亜鉛めっきが施されていく様子を工場で見学させていただきました。
まずはめっきを施す部材の前処理を行います。ここで油脂や錆等の不要なものを落としていきます。

CIMG8702.JPG
(前処理を行うところ)
 
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(溶かす前の亜鉛地金)

大きな釜に高温で溶かした亜鉛がなみなみと満たされ、その中に吊るされた部材が浸されます。
 
CIMG8706.JPG
(部材が浸されたあと引き上げていく様子)

部材の厚みによって浸す時間が違うそうです(数分~数十分)。その後、冷却処理が行われます。
 
CIMG8710.JPG
(隣の冷却漕に浸されていく様子)

見学させていただいている間に、亜鉛が満たされた大きな釜に次々と部材が投入され、めっきが施され銀色になって出てきていました。亜鉛は400度以上の高温で溶かしているため、夏場の環境は大変過酷だそうです。また、危険も伴うため、社員の安全管理を徹底されているそうです。

【取材を終えて】

私は吹奏楽部に所属していたので、これまでめっきというと「金管楽器に施されているもの」というイメージしかありませんでした。取材をして、身近なところで様々なものにめっきが施されており、私たちの安全な暮らしを守ってくれているのだということがわかりました。(取材担当・長田)

 
CIMG8715.JPG
(取材の後、遠田工場長と学生記者)

★横浜ガルバー株式会社
http://yokohama.z-mekki.com/


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