地域産業研究所

PROFILE

地域産業研究所
地域産業研究所
横浜商科大学の地域産業研究所です。

LINK

鶴見区工業会取材④「寛政鉄工株式会社」

2016年11月03日 12:55

20153月に鶴見区と本学は「包括連携協定」を締結し、様々な事業で協力していくことになりましたが、その一環として、「鶴見区工業会」が発行する「鶴見区工業会会報」の中で工業会所属企業を紹介する記事を商科大が担当することになりました。今回は昨年度の116号、117118に続く4度目の取材となります。

4社目として、寛政鉄工株式会社に伺いました。取材を担当するのは、小林二三夫地域産業研究所所長、高羽研究員、学生スタッフ久保優希商学科2年)です。


CIMG5449-2.jpg

(取材の様子)

 


【寛政鉄工株式会社の沿革、概要】


 1937(昭和12年)に個人事業として開業、3年後の1940(昭和15)年「合資会社寛政鉄工所」として鶴見区寛政町にある寛政中学校の横に法人として設立されました(2006(平成18)年「寛政鉄工株式会社」に組織変更)。それ以来富士電機製造株式会社や日立造船株式会社の協力会社として、水力発電設備・配電盤等の製作、製缶事業を行ってきました。2000(平成12)年に将来を見越した路線変更を行い、"現地工事"に着手し始め、下水処理場の設備の施工を専門的に行うようになりました。


プラント設備機器の設計・製作、現地での据付・配管工事といった、プラント設備工事のほぼすべての工程を自社で行っています。汚泥処理とは、下水処理の過程で発生した汚泥を、粘土のような固形物と水分に分ける処理のことです。寛政鉄工は、下水処理の工程でもとりわけ"汚泥濃縮・汚泥脱水"という汚泥処理部門を得意としています。


現在は、主に日本で最先端の下水処理技術を誇る『南部スラッジプラント(城南島)』『東部スラッジプラント(葛西)』の新規設備工事、既設設備の補修を行っています。


CIMG5461-2.jpg

(小澤浩一代表取締役)

 


【業務内容について】


 寛政鉄鋼の業務内容は、主に「現場工事」と「工場製作」です。「現場工事」では、遠心分離機メーカーの濃縮機・脱水機という機械を中心に各種処理を行う機器据付工事・配管工事、現在稼働中の設備で不具合が生じている機械・配管の修理・交換、現場では修理できない機器を工場に持ち出しての修理、その他機械メンテナンスや配管工事を行っています。

「工場製作」では、ダンパー・スクリュウコンベヤなど機器の設計から製作までを行っています。ダンパーに関しては、小型化を行うために試作を繰り返し、気密性・小型化に関して特許を取得されているそうです。また、スクリュウコンベヤに関しては回転部の水密性を高めた製品を設計・製作しています。その他、各種機器の架台等の設計・製作も行っています。

検査済完成品-一沈汚泥除砂機コンベヤ (1)-2 - コピー.jpg

(汚泥除砂機コンベヤ)

 

DSCN0010-2 - コピー.jpg

(個液分離ダンパー外観)

 

DSCN1849 - コピー.JPG

(個液分離ダンパー内部)

 


【寛政鉄工株式会社の強み】


 今、プラント設備の工事現場は細分化されています。そのような中、設計から設置までほぼすべての工程を自社内で完結できることは、品質・時間短縮・責任面・事故予防の観点から見ても大変好ましく、お客様から高い評価を得ています。

 

 また注文を受けた際、要望されたものをそのまま作るだけでなく、アイディアをプラスする、ということをよく行うそうです。業界では珍しいことで、これがお客様には大変喜ばれており、そこから新しいお仕事につながったりもするのだとか。相手のことを考える心が寛政鉄工の強みであると感じました。


CIMG5467-2.jpg

(取材の様子)

 


【求める人材】


 現場の人に求めるのは、率直に言うと『話を聞き、理解し、行動に移せる』ということだそうです。機械製造や設備工事という仕事は、ちょっとした油断が事故につながり、命を落としてしまう危険性もあるそうです。そのため、まずは「聞く姿勢」を大切にしています。そういった方針が徹底され、創業以来80年近くの歴史の中で、今まで事故はゼロとのことです。会社の方針を従業員皆が実践している職場であると感じました。


 管理する立場についても、「会話力」を求めているといいます。お客様から求められている事を的確に理解し、仕事をするグループ全員が同じ方向に向かってスムーズに仕事を進める基本と。また、コミュニケーション不足から作業員に怪我をさせたりする可能性もあります。ほとんどが中途入社だそうですが、入社後の教育をしっかりと行うようにされているそうです。


 また若い人材を多くスカウトし、組織内で競争を行わせ積極的な技術の向上を促したり、十分力がついた者には将来の独立を支援したりと、次世代の育成にかなり力を入れていることがうかがえました。『学ぶために働く』ことができる、大変すばらしい職場です。


【社長が大切にされていること】


 寛政鉄工には、

「1.一歩先の技術で

 2.一歩先のアイディアで

 3.一歩先の正確さで

 4.お客様に喜ばれる良質な製品を納める」

という経営ポリシーがあります。


このポリシーが形骸化せず、実際に現場で実践されていました。製品にもそれが表れています。3代目である小澤代表取締役は、「この業界で80年以上続いてきたのは先代が間違っていなかったからで、尊敬している。意見が先代と違っても、"なぜ違う意見が出るのだろう"と考えるようにしている。」とおっしゃっていました。


「お客さんあってのうち、従業員あっての会社。だから上にも下にも目を向けるようにしている。」こちらも小澤代表取締役のお言葉です。お客様はもちろん従業員のことも真摯に考える、この全ての人に対して真剣な姿勢はまさに『人のための会社』だと、感動しました!

 

【まとめ】


 寛政鉄工株式会社は、「仕事の前に、人」という小澤代表取締役のお言葉通り、大変人情味あふれるあたたかい会社でした。


 後についてお聞きしたところ、実は会社をこれ以上大きくする気はあまりないそうです。というのも、お客様からの声がストレートに社長の耳に入り、それを従業員に忠実に伝えることで、求めるものをそのまま提供する、ということを大切にしてらっしゃるため。そのサイクルを回すには、今の大きさが最適なのだとか。「これ以上になると、どうしてもお客様に満足してもらえない部分が出てくる。」この言葉から、売上や利益よりも、まず『お客様の満足』を何よりも重視していることがひしひしと伝わってきます。


 BtoBの企業はあまり消費者に知られる機会がありませんが、寛政鉄工は私たちのライフラインを支えてくださっている会社で、こんなにも人のことを考えている素敵な会社だということを、多くの人に知っていただければ幸いです。

 


CIMG5469-2 - コピー.jpg

(小澤代表取締役と久保記者)


【鶴見区工業会HPhttp://tsurumiku-kougyo.sakura.ne.jp/

Page top